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内分泌シリーズ

クッシング症候群診療マニュアル 改訂第2版診断と治療社 | 書籍詳細:クッシング症候群診療マニュアル 改訂第2版

(公財)先端医療振興財団・先端医療センター 病院長

平田 結喜緒(ひらた ゆきお) 編集

国立病院機構京都医療センター内分泌代謝高血圧研究部 部長

成瀬 光栄(なるせ みつひで) 編集

改訂第2版 B5判 口絵カラー+2色 324頁 2015年12月07日発行

ISBN9784787822017

定価:本体5,800円+税
  

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早期診断と治療が重要なクッシング症候群.歴史,疫学など総論はもちろん診断・治療・病態なども充実.「最新の知見」まで網羅した本疾患の診療に携わる全ての医師の必読書.

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目次

口絵   
推薦のことば   井村裕夫
序文   平田結喜緒
「内分泌シリーズ」について  成瀬光栄
執筆者一覧

Ⅰ 基礎編
A CRH
 1 CRHの基礎知識
化学構造・合成・分泌調節・作用・受容体・細胞内情報伝達系 新井桂子 他
 2 CRHの測定法 今城俊浩
B ACTH
 1 ACTHの基礎知識
化学構造・合成・分泌調節・作用・受容体・細胞内情報伝達系 沖 隆
 2 ACTHの測定法 沖 隆
C コルチゾール
 1 コルチゾールの基礎知識
a. 化学構造・合成・分泌調節・作用 宗 友厚
b. 受容体・細胞内情報伝達系 柴田洋孝
 2 コルチゾールの測定法
a. 免疫学的測定法 二川原 健 他
b. LC-MS/MS 本間誠次郎 他
D DHEA
 1 DHEAの基礎知識
化学構造・合成・分泌調節・作用・受容体・細胞内情報伝達系・測定法 柳瀬敏彦

Ⅱ 臨床編(総論)
A クッシング症候群発見の歴史 平田結喜緒
B クッシング症候群の病態 西山 充
C クッシング症候群の病型 土井 賢 他
D クッシング症候群の疫学調査 大中佳三 他
E クッシング症候群の機能検査
 1 血中・尿中コルチゾール 二川原 健 他
 2 唾液中コルチゾール 土井 賢 他
 3 日内変動 中山修一 他
 4 デキサメタゾン抑制試験 中山修一 他
 5 CRH試験 新井桂子 他
 6 DDAVP試験 蔭山和則 他
 7 メチラポン試験 東條克能
 8 ACTH試験 大村昌夫 他
 9 下錐体静脈洞・海綿静脈洞サンプリング 泉山 肇 他
F クッシング症候群の画像検査
 1 クッシング症候群の視床下部・下垂体の画像検査 山田正三
 2 クッシング症候群の副腎の画像検査 桑鶴良平
 3 クッシング症候群のその他の画像検査 泉山 肇 他

Ⅲ 臨床編(各論)
A ACTH依存性クッシング症候群
 1 ACTH依存性クッシング症候群の最近の動向 平田結喜緒
 2 ACTH依存性クッシング症候群の鑑別診断のアルゴリズム 平田結喜緒
 3 クッシング病
a. 病態生理・診断 沖 隆
b. 治療
(1)外科的治療 山田正三
(2)術後の補充療法 今城俊浩
(3)放射線治療 菅原 明 他
(4)ガンマナイフ 林 基弘
(5)サイバーナイフ 佐藤健吾
(6)内科的治療 沖 隆
c. 合併症・予後 ・QOL 次田 誠 他
d. クッシング病の病理 竹井麻生 他
 4 クッシング病の関連疾患
a. サブクリニカルクッシング病 二川原 健 他
b. 特殊な組織型(SCA,CCA,下垂体癌) 井下尚子
c. ネルソン症候群 平田結喜緒
d. 周期性クッシング症候群 片上秀喜
e. 偽性クッシング症候群 方波見卓行 他
f. 遺伝性クッシング症候群(MEN,MAS) 髙野順子 他
 5 異所性ACTH産生腫瘍
a. 病態生理・診断 平田結喜緒
b. 治療 平田結喜緒
c. 合併症・予後 ・QOL 土井 賢 他
d. 病理組織 長村義之

B ACTH非依存性クッシング症候群
 1 ACTH非依存性クッシング症候群の最近の動向 田辺晶代 他
 2 ACTH非依存性クッシング症候群の診断と治療のアルゴリズム 成瀬光栄 他
 3 クッシング症候群
a. 病態生理・診断 田辺晶代 他
b. 治療
(1)手術療法 滝澤奈恵 他
(2)後腹膜アプローチ内視鏡手術 高木敏男 他
(3)先端型ミニマム創内視鏡下副腎摘除術 松岡 陽 他
(4)アブレーションによる治療 石坂和博 他
(5)術後の補充療法 田辺晶代 他
(6)薬物療法 田辺晶代 他
c. 合併症・予後 ・QOL 田辺晶代 他
d. ACTH非依存性クッシング症候群の病理 笹野公伸
e. 病理組織 相羽元彦 他
 4 クッシング症候群の関連疾患
a. サブクリニカルクッシング症候群
(1)概念と診断基準 成瀬光栄 他
(2)乖離例の臨床像 津曲 綾 他
(3)診断基準の課題 方波見卓行 他
(4)合併症・予後 ・QOL 立木美香 他
(5)術後の補充療法 立木美香 他
b. AIMAH
(1)病態と成因 鈴木佐和子 他
(2)診断と治療 宗 友厚
(3)外科的治療 今井常夫
(4)AIMAHの病理 笹野公伸
c. PPNAD
(1)診断と治療 髙野順子 他
(2)病理組織 相羽元彦 他
d. 副腎癌によるクッシング症候群 柳瀬敏彦
e. 両側腺腫によるクッシング症候群 立木美香 他
f. 原発性アルドステロン症との合併例 吉本貴宣 他
g. 褐色細胞腫との合併例 滝澤(山本)奈恵 他
h. 副腎偶発腫瘍 上芝 元 他
i. 小児期のクッシング症候群 柴田浩憲 他
j. 糖尿病におけるクッシング症候群 田邉真紀人 他
 5 ステロイド治療に伴う病態
a. 医原性クッシング症候群 難波多挙 他
b. ステロイド治療と骨粗鬆症 竹内靖博
c. ステロイド糖尿病 辻野元祥
d. ステロイド外用薬 神山隆治 他

Ⅳ トピックス
 1 パシレオチド(pasireotide)によるクッシング病治療 沖 隆
 2 テモゾロミドとACTH産生腫瘍 竹下 彰
 3 レチノイン酸とACTH産生腫瘍 菅原 明 他
 4 EGFR阻害薬とACTH産生腫瘍 福岡秀規
 5 Hsp90阻害薬とACTH産生腫瘍 蔭山和則
 6 脱ユビキチン化酵素USP8変異とクッシング病 駒田雅之
 7 ES細胞から下垂体ACTH産生細胞への分化誘導 大曽根親文 他
 8 ACTH産生腫瘍における細胞内分子機構の異常 館野 透 他
 9 副腎腫瘍の尿中ステロイドプロフィル 本間桂子 他
10 副腎腫瘍と転写因子 柴田洋孝
11 クッシング症候群におけるプロテインキナーゼA触媒サブユニットの変異 小川誠司
12 徐放型グルココルチコイド 柳瀬敏彦
13 ステロイド産生細胞と再生医療 曽根正勝 他
Information
・クッシング症候群に関連する主な学会・研究会・班会議
・欧米でのクッシング症候群・クッシング病に関する情報提供
・米国内分泌学会診療ガイドライン(2008):クッシング症候群の診断
・クッシング症候群(CS)の診断のためのアルゴリズム(2008)
・表 1 クッシング症候群(CS)の臨床的特徴と重複する病態(2008)
・表 2 クッシング症候群(CS)でないのに高コルチゾール症を呈する病態(2008)
・表 3 クッシング症候群(CS)の診断のための検査の評価に影響しうる薬剤(2008)
・クッシング症候群(CS)の治療(2015)
・表 クッシング症候群(CS)の薬物治療(2015)
・異所性ACTH症候群における核医学画像診断のアルゴリズム
・図 クッシング症候群(CS)の治療のアルゴリズム(2015)
Column
・Edward C. Kendall(1886-1972) 平田結喜緒
・Choh H. Li(1913-1987) 平田結喜緒
・Grant W. Liddle(1921-1989) 平田結喜緒
・Rosalyn S. Yalow(1921-2011) 平田結喜緒
・Kalman T. Kovacs(1927- ) 山田正三
・Jules Hardy(1932- ) 寺本 明
・阿部 薫(1933-2012) 平田結喜緒
・David N. Orth(1933- )  沖 隆
・Wylie W. Vale(1941-2012) 芝﨑 保

索 引   

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序文

序 文(改訂第2版)

 診断と治療社から「クッシング症候群診療マニュアル」の初版が2009年に刊行された.それまでクッシング症候群の病型,成因,診断,治療などを系統的にまとめた単行本はほとんど皆無であった.しかし1990年頃からクッシング症候群に関する新たな知識や診断技術の進歩は目覚ましく,内分泌学の成書や教科書は改訂されるたびに内容が大きく書き変えられてきた.そのような状況のなかで最新の情報を網羅した「クッシング症候群診療マニュアル」が刊行され,多くの読者から好評を得て,これまで増刷を重ねてきた.
 しかしながら,クッシング症候群に関する新たな知見がここ数年の間に次々と集積してきた.たとえば次世代シーケンサーの導入により,容易に全エクソンシーケンス解析(WES)が可能になると,成因となる新たな遺伝子変異が下垂体や副腎の腫瘍で次々と見出されている.診断法もホルモン検査や画像検査が容易になると,無症候性あるいはサブクリニカルクッシング症候群と診断される症例が増え,その診断基準や取扱いが課題となっている.治療法でもいくつかの分子標的薬が開発・応用され,進行性・難治性クッシング症候群での薬物治療の選択肢が広がりつつある.またヨーロッパを中心にクッシング症候群を代表とする内分泌性希少疾患の疾患登録やバイオバンク制度が確立され,疾患遺伝子の同定,大規模臨床試験,長期予後や生活の質(QOL)の評価,診療ガイドラインなど次々と新たな情報が欧米から発信されている.したがってわが国でもオールジャパンで疾患登録制の導入,臨床研究(治験)の実施,診療ガイドラインの策定などグローバルな取り組みが急務である.その意味でも2015年から医療分野の司令塔として発足した日本医療研究開発機構(AMED)に期待するところが大きい.
 今回の改訂第2版「クッシング症候群診療マニュアル」の作成にあたり,特に最新の知見については「最新の動向」で紹介し,詳細は「トピック」で解説した.またInformationでは米国内分泌学会・診療ガイドライン(2008年)「クッシング症候群の診断」,同診療ガイドライン「クッシング症候群の治療」(2015年)の図表を掲載し,またColumnではクッシング症候群に関連する基礎的・臨床的研究で多大な貢献をした歴史的人物を取り上げて紹介した.各項目はすべてこの分野の専門家に執筆していただき,クッシング症候群に関する最新の知識がすべて網羅された内容となっている.本書が内分泌指導医,専門医,専攻医,研修医,総合医の診療マニュアルとして,また医学生や研究者にも参考書として役立てていただければ幸甚である.
 最後に,多忙な合間に執筆していただいた各執筆者の先生方ならびに「推薦の言葉」をいただいた恩師井村裕夫先生に深謝致します.また本書の作成を推進していただいた診断と治療社編集部・小川原智氏,寺町多恵子氏に感謝いたします.

 (公財)先端医療振興財団・先端医療センター病院長
 東京医科歯科大学名誉教授
  平田結喜緒



序 文(初版)

 1910年,Harvey W. Cushing博士は下垂体腫瘍に“多腺性症候群”とよんだ多彩な症状を伴った23歳女性患者を初めてみた.その後,1933年に同様の特異な臨床症状(満月様顔貌,中心性肥満,野牛肩,皮膚線条など)を呈する下垂体塩基性腺腫の自験例をまとめ,下垂体腫瘍に起因すると結論した.これが今日の「クッシング病」の元になるものである.その後,副腎腫瘍でも同様の徴候を示すことが明らかとなり,コルチゾール過剰分泌に基づく病態を「クッシング症候群」と総称するに至った.このように臨床医としての卓越した技量と科学者としての鋭い洞察力を備えたCushing博士は脳神経外科だけではなく,内分泌学のパイオニアとして医学分野で歴史的にその名を残すことになった.
 内分泌学における視床下部・下垂体・副腎(HPA)系の研究は20世紀後半から飛躍的な進歩を遂げた.ACTH(1954年),β-lipotropin(1964年),β-endorphin(1975年),POMC(1979年),CRH(1981年)の構造決定,1960年代のBersonとYalowによるRIAの開発と臨床応用,Liddleらによるクッシング症候群の病態生理の解明,など枚挙にいとまがない.編者は幸運にもこの輝かしい内分泌学の発展期である1970年に恩師井村裕夫先生の下でHPA系の研究に従事できた.初めて主治医になったクッシング病の13歳男性患者(胸腺摘出と副腎全摘,後に下垂体腫瘍摘除)や異所性ACTH症候群の51歳女性患者(大分子ACTH産生胃カルチノイドの切除により完治)からは臨床医として多くを教えて頂いた.井村先生から指導して頂いた腫瘍での大分子ACTH生合成の最初の仕事が,京大 中西先生らによるPOMCのクローニングという画期的な業績への足がかりになったことは,研究者として今も誇りに感じている.
 クッシング症候群の病型,成因,診断法,治療法に関する新たな知識や技術は1990年頃から飛躍的な進歩を遂げた.『Williamsの内分泌学教科書』が毎回改訂されるたびに本項の内容も大きく書き変えられている.わが国ではクッシング症候群の単行本(井村裕夫編,25内科MOOK,金原出版1984年)が刊行されたが,その後新たに本症を取り上げたものは見当たらない.今回,新たな企画で診断と治療社から『クッシング症候群診療マニュアル』と題した単行本を刊行することとなった.この分野の専門家に執筆して頂き,クッシング症候群に関する最新の知見を全て網羅した内容になっている.本書が研修医,実地医家,専門医など診療に関わる医師に診療マニュアルとして,また医学生や研究者にも参考書として役立てば幸甚である.
 最後に,多忙な業務の合間に執筆して頂いた各執筆者の先生方ならびに「推薦の言葉」を頂いた恩師井村裕夫先生に深謝致します.また,本書の作成を推進して頂いた診断と治療社編集部の水内清和氏,谷口陽一氏に感謝致します.

 東京医科歯科大学
 内分泌・糖尿病・代謝内科 教授
  平田結喜緒