HOME > 書籍詳細

書籍詳細

小児けいれん重積治療ガイドライン2017診断と治療社 | 書籍詳細:小児けいれん重積治療ガイドライン2017

日本小児神経学会  監修

小児けいれん重積治療ガイドライン策定ワーキンググループ 編集

初版 B5判 並製 120頁 2017年06月30日発行

ISBN9784787822604

定価:本体3,000円+税
  

ご覧になるためにはAdobe Flash Player® が必要です  


小児救急医療のなかで高頻度に遭遇するけいれん重積状態.病院前治療・初期治療から難治性病態(ベンゾジアゼピン系薬剤抵抗性,難治性,超難治性)への対応までを,日本における治療選択肢等の医療事情を考慮しつつ作成した治療ガイドライン.適応外使用となる薬剤はその適切な使用を注意喚起のうえ解説し,発作時の患者に対して最善の治療が施せるよう編んだ.海外と日本のこれまでの知見を精査し,実臨床に即してまとめあげた1冊.

関連書籍

ページの先頭へ戻る

目次

発刊にあたって
序文

Introduction
CQ・推奨グレード一覧

第1部 総論 
 1 ガイドラインの対象
 2 定義と分類(definition & classification)
 3 疫学(epidemiology)
 4 海外の治療ガイドライン

第2部 各論
 CQ 1 けいれん発作に対して重積化を防ぐために早期に治療介入することは必要か
 CQ 2 医療機関受診時にけいれん発作が続いている場合,最初に試みるべき治療は何か
 CQ 3 けいれん発作が持続しているが,静脈ルートがとれなかった場合,どのような対処があるか
 CQ 4 けいれん発作を起こした小児で,入院(入院可能な病院への搬送)の適応はどう判断するか
 CQ 5 ベンゾジアゼピン系薬剤で発作が消失した場合,発作再発予防のための薬剤追加は有効か
 CQ 6 ベンゾジアゼピン系薬剤の静注で発作が消失しない場合,次の選択肢は何があるか
 CQ 7 けいれん重積状態において,ICU入院を考慮する目安は何か
 CQ 8 難治性けいれん重積状態に対して昏睡療法は有用か
 CQ 9 超難治性けいれん重積状態に対する介入は何があるか
 CQ 10 難治性けいれん重積状態に脳低温療法は有効か
 CQ 11 けいれん重積状態で,どのような検査が必要か
 CQ 12-1 けいれん重積状態で,持続脳波モニタリングは有用か
 CQ 12-2 けいれん重積状態で,amplitude-integrated EEGは有用か
 CQ 13 けいれん重積状態で緊急画像検査(CT,MRI)は必要か
 CQ 14 けいれん重積状態の予後不良因子には何があるか

参考
 ロラゼパムについて
 第二選択薬の実際
 海外では
 難治性けいれん重積状態に対する昏睡療法に関するこれまでの研究
 ミダゾラム持続静注の実際
 海外と日本における持続脳波モニタリングの現状

文献検索式
索引

ページの先頭へ戻る

序文

発刊にあたって
 
 日本小児神経学会は小児神経疾患の診療標準化を目指しており,2011年にガイドライン統括委員会を発足させました.本学会ではこれまでに「熱性けいれん診療ガイドライン2015」および「小児急性脳症診療ガイドライン2016」を発刊しましたが,このたび「小児けいれん重積治療ガイドライン2017」を策定しました.本ガイドラインは,林 北見先生を委員長として9名の委員からなる日本小児神経学会「小児けいれん重積治療ガイドライン策定ワーキンググループ」によって原案が作成され,アドバイザーの杉江秀夫先生(本学会前ガイドライン統括委員会担当理事),坂本博昭先生(大阪市立総合医療センター小児脳神経外科)および外部委員の小島原典子先生(東京女子医科大学衛生学公衆衛生学第二講座)によるご指導,本学会評価委員ならびに評議員による内部評価,関連学会と患者団体による外部評価,さらにAGREE IIに沿った評価を受け,修正を行いました. 
 けいれん重積状態は頻度の高い急性の病態であり,救急処置と鑑別診断を並行して行う必要があり,小児科医や救急医のみならず内科医や総合診療医など多くの診療科の種々のレベルの医師がその対応に当たります.けいれん重積状態の治療は,国により承認されている薬剤が異なることや慣習的に使われてきた薬剤選択があるため,国際的に認知されたガイドラインがそのまま日本に適応できるわけではありません.また,けいれん重積状態を呈する原疾患は国や民族により異なり,日本では熱性けいれんと急性脳症が多いことが特徴です.そのような背景もあり,日本の医療事情に合ったガイドラインが求められてきましたが,けいれん重積状態治療に関する質の高いエビデンスは少なく,特に小児を対象にしたものは極めて乏しいのが実情です.以上のような点に鑑み,エビデンスや国際的に認知されたガイドライン,過去に日本で作成されたガイドライン〔「小児のけいれん重積状態の診断・治療ガイドライン(案)―よりよい治療法を求めて―」(小児のけいれん重積に対する薬物療法のエビデンスに関する臨床研究,2005年),「てんかん治療ガイドライン2010」(日本神経学会)〕などを参考にしながら,日本の現状に配慮したガイドラインを策定しました. 
 けいれん重積状態のおける治療選択は画一的なものではなく,本ガイドラインで示された推奨は参考にすぎません.実際の治療に当たる場合,病院機能や医療環境がそれぞれ異なっていますので,治療方針の決定は,主治医の総合的判断に基づいて行われるべきであることは言うまでもありません.けいれん重積状態の治療には,適応外使用として使われている薬剤がいくつかあります.本ガイドラインでも,適応外使用薬もその旨を明記したうえでご紹介しています.これらの薬剤の使用には,施設ごとに倫理的配慮を含めてご検討していただきたいと思います.
 本ガイドラインが,小児救急を担当する本学会員をはじめ,多くの医療従事者の皆様にとって役立つものであることを願っております.本ガイドラインをご活用いただき,皆様からのフィードバックをいただくことにより,今後の改訂に役立てて参りたいと思います.

2017年5月

日本小児神経学会
理事長 高橋孝雄
ガイドライン統括委員会担当理事 前垣義弘
ガイドライン統括委員会委員長 福田冬季子



序文

 2014年3月に「小児けいれん重積治療ガイドライン策定ワーキンググループ」が設置され,策定にとりかかりました.2016年5月の日本小児神経学会総会において骨格を呈示した後,推敲を重ね,このたび発刊にいたりました.この間に貴重なご意見を多く頂きましたこと,この場を借りまして心より感謝申し上げます.
 担当委員の原案をとりまとめる過程で,改めて強く感じたことがあります.一つは,日常的に行っている診療行為の裏付けが確かなものであるのか,ということです.一例をあげると,日本のジアゼパム静注の用量は0.3~0.5mg/kgとしていることが多いのですが,海外のガイドラインでは0.2~0.3mg/kgであることが多く,日本での用量が多めであることが判りました.薬剤添付文書では小児用量に記載はありませんので,われわれの先輩方が検討した結果であろうと思われますが,世界共通の第一選択肢でありながら,用量にこれだけの幅がある理由は不明です.国ごとの治療成績に大きな差があるとは思えませんので,至適用量はどこにあるのでしょうか.本ガイドラインでは日本での用量を採用しておりますが,今後の検討課題です.
 もう一つは,この領域でのエビデンスレベルの高い研究の少ないこと,あるいは質の高い研究を実施することの難しさです.救急医療現場の事情を考えれば,当然予想できることではありますが,諸外国においても似たような状況です.本ガイドラインでも多く参考としたBrophyのガイドラインに触れて,Shorvon〔Shorvon S. Guidelines for status epilepticus: are we there yet ? Neurocritical Care 2012;17:1-2.〕は多くの重積治療ガイドラインに共通する課題として,十分な“controlled data”が不足するなかで推奨を策定せざるを得ない点を指摘しています.とはいえ,このような実情に甘えることなく,少しでも質の高いエビデンスを得るために,私たちにできることが何かあるのではないか,議論する余地はあるように思います.本ガイドラインを一つの通過点として,そのような機運が生まれることを期待しております.
 ガイドライン最終稿を作成するうえで,関連諸学会と日本てんかん協会にご評価いただき,多くの問題点をご指摘いただきました.可能な限りお応えできるように検討を行いましたが,基本骨格が決まっているなかで,十分に反映できなかった点もございます.今後,新たな知見が加わるなかで,より実臨床に即した有用なガイドラインに成長できるよう,将来の改訂に向けた作業を進めたいと考えております.

2017年5月

日本小児神経学会
小児けいれん重積治療ガイドライン策定ワーキンググループ委員長 林 北見