医療系のためのやさしい統計学入門
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   1  に数値を入れると*1 補足 次の図を見てください.母集団が同じであれば,もちろん,有病率  5  %>  3  %です.ところが,担当地区,県全体の母集団は異なっており,また,それぞれの割合が真の値を反映しているとも限らないので,統計学的に割合を比較する必要があるのです!*2 メモ 真の値が  95  %  の確率*3 補足 真の値として最も可能性の高い値(点推定値といいます.この例では標本集団の割合  Po がそのまま点推定値になります.)と,95  %  信頼区間(区間推定といいます)を計算することを,統計学では「推定」といいます.「3.統計学的推論(推定と検定)」(34ページ)参照.*4 補足 「なぜ  95  %  とするのか,1.96  という数字はどこから出てくるのか」ですが,正規分布では平均の周囲の標準偏差の  1.96  倍の区間に全体の個体の  95  %  が存在している,ということによります.担当地区糖尿病有病率  5  %県全体糖尿病有病率  3  %比較したい!で入る範囲Ⅱ章 統計手法の基礎について勉強しよう5050 0.45±1.96 0.45×(1-0.45)100 真の割合の 95 % 信頼区間= P ± 1.96 = 0.45±0.0975n P(1-P)…1 *4 (P: 標本集団の割合,n: 標本集団の対象者数) 式だけではわかりにくいので,簡単な例で考えてみましょう.[例]1)真の割合の推定と差の推定 まず,真の割合の 95 % 信頼区間*2を求めます*3.次に,基準となる割合を引き算すると差が求められます. 調査の結果から,2 群あるいはそれ以上の群において割合を比較したい場合は多いでしょう.たとえば,保健職の場合,自分の担当地区での住民の糖尿病の有病率が,県全体のデータと比較して高いか否かをみたい場合や,住民健診のデータで男女別にどちらが肥満の割合が高いのかをみたい場合などです.ここでは,前者のような場合には 1 つの母集団の割合の検定を,後者のような場合にはカイ 2 乗検定を用いて,それぞれどのように比較すればよいか,説明します*1. たとえば自分の担当地区の住民における糖尿病の有病率を,県全体あるいは国全体のデータと比較したい場合,どのようにすればよいのでしょうか. あなたの担当地区の住民 100 人を調査したところ,週 1 回以上の運動の実施割合は 45 %でした(標本集団の割合).一方,県平均での同実施割合は 35 %でした(基準の割合).これらの割合を比較してみましょう.となり,あなたの担当地区住民の運動実施の真の割合は 35.3 % 〜 54.8 % の範囲のどこかにあると推定されます.また県平均の 35 % を引き算すると,差は 0.3 % 〜 19.8 % の範囲にあることがわかります.5.割合の差(推定と検定)A1  つの母集団の割合

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