1825Dr.森の腹部超音波診断パーフェクト
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71I臓器別解剖と走査法健常者の肝実質は微細な点状エコーが均一に分布しており,エコーレベルは腎皮質と同等ないしやや高めである.肝表面は平滑で肝縁は鋭角である.肝動脈は門脈と比べて細いため,左右肝動脈の分枝部付近までは描出可能であるが,通常,Bモード画像上は肝内肝動脈は描出されない.門脈は肝門部で右枝と左枝に分岐し,右枝は4次分枝,左枝は3次分枝くらいまで描出される.肝静脈は右・中・左の3本からなり,3次分枝くらいまで描出される.肝内胆管は肝内門脈枝と併走しており,3次分枝くらいまで描出される.肝右葉より下方のレベルで下大静脈へ流入する副肝静脈の1つである下右肝静脈(図6)(矢印)が認められることがある.肝の大きさの判定には左葉または右葉の径を測定する必要がある(図7).左葉は最大吸気時における心窩部縦走査で,腹部大動脈の長軸面での肝の頭尾方行の長さ(LL)と厚さ(LD)を測定する.正常値は7<LL<11cm,5<LD<7cmである.右葉は中腋窩線付近の縦走査で,呼吸は一定せずに頭尾方向の最大描出時の長さ(RL)を測定する.正常値は9<RL<16cmである.2) 肝の正常超音波像aabbm±SD(cm)肝の大きさの正常値正常値(cm)LLLDRL左葉右葉8.8±2.15.8±1.012.4±1.87

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