1825Dr.森の腹部超音波診断パーフェクト
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396動脈硬化は粥状硬化,中膜硬化,細動脈硬化に分類されるが,臨床的にもっとも重要なのは粥状硬化である.粥状硬化では動脈内膜に脂質や線維性結合織,石灰の沈着を生じ,内膜下の出血や血栓形成がみられる.動脈硬化の誘因として,脂質異常症,高血圧,肥満,糖尿病,喫煙,加齢などが考えられている.腹部大動脈に限局性の拡張を認めるもので,病因としては動脈の粥状硬化によるものが多いが,その他にマルファン(Marfan)症候群,梅毒,大動脈炎症候群,外傷などでも生じる. 臨床所見としては通常は無症状であるが,破裂を生じると背部痛やショックをきたす.また背部痛や側腹部痛,発熱,体重減少,下肢および陰囊浮腫などの症状を伴ったまれな病態として炎症性腹部大動脈瘤があり,高齢男性に好発する.1 動脈硬化症 Arteriosclerosis病 態超音波のポイント①動脈壁のstrong echo②動脈の屈曲,蛇行超音波所見2 腹部大動脈瘤 Abdominal aortic aneurysm病 態脈 管 ・・・・・・・・・・・Hstrong echo腹部大動脈の屈曲,蛇行 腹部大動脈の屈曲,蛇行と,動脈壁の石灰化を反映してstrong echoが認められる.屈曲,蛇行した大動脈は動脈瘤と誤診しやすいので注意する必要がある.図1

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