1849内分泌代謝臨床研究マニュアル
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194 診断研究●●●第2章 臨床研究の研究デザインの種類眼瞼結膜を観察して「貧血なし」の判定がどれぐらい安定して得られるのか? 再現性が悪ければ感度や特異度は悪くなる.感度や特異度が悪い原因として,再現性に問題がないか検討することもある.再現性が悪ければ,測定方法の標準化や測定者のトレーニング,測定の反復により再現性を改善できる. 陽性陰性の判定といった名義変数の再現性評価には,κ係数を用いる.κ係数は2つの検査結果の一致度を示す2×2表において,(一致セル内の数⊘全体数)ではなく,この分子分母から一致セル内の期待値を減じて計算される(表3). ただしκ係数は陽性者や陰性者の割合の影響をうけるので,κ係数の相互比較には注意が必要である.陽性結果や陰性結果が極端に少なかったり多い場合,小さなκ係数になりがちである.留意点 これらの研究で留意すべきバイアスとしてspectrum bias,work⊖up bias,information biasが知られている.また診断学研究を吟味するときのチェックリストとしてQUADASや,診断学研究を報告するときの標準的方法であるSTARDが報告されている.研究結果の解釈や研究計画では,これらに関する知識が有用である.詳細は第3章 研究計画書の構成と作成 3.研究デザインa)観察研究の記載方法に記載した.文 献Gordon G, et al.:Usersʼs Guides to the Medical Literature:A Manual for Evidence⊖Based Clinical Practice, 2nd ed, American Medical Association, 2002.

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