1849内分泌代謝臨床研究マニュアル
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1693 ロジスティック回帰分析●●●第8章 結果解析の実践 実際のソフトを使ってどちらを基準としているかは,「パラメータ推定値」の箇所の「推定値は次の対数オッズに対するものです:あり⊘なし」の記載を確認すると良い.この記載より,CKD「なし」を基準にした「あり」に対する対数オッズの推定値が記載されていることがわかる. 説明変数が名義変数のとき,自動的にダミー変数が作成される.アルファベットや数字の最後の水準が⊖1と指定される.たとえば,「あり」「なし」の2値や「0」「1」の2値は,各々,1,-1の値をもつダミー変数として計算される.0,1の値をもつダミー変数ではない.よって,片方と比較した場合の差を求める場合は,「推定値」を2倍にする必要がある.JMPでは,「0」「1」に対する推定値を求めるときは,名義変数ではなく連続変数として扱った方が便利なことがある. 説明変数とは,アウトカムを説明するために用いられる変数のことである.説明変数によりアウトカムが変化する.今回の事例では,CKDがアウトカムで,性別,年齢,高血圧罹病期間,PACが説明変数となる.オッズ比と95%信頼区間の求め方 オッズ比(Odds Ratio:OR)は,ある事象(例:疾病)の起こりやすさを2つの群で比較して示す尺度である. 解析結果が示された上方の▼をクリック(①)すると,プルダウンされる.「オッズ比」を選択する(②).①② 解析結果が示される. 「下側95%」「上側95%」は,95%信頼区間の下側と上側を示す.「下側95%」「上側95%」が1をはさんでいなければ有意差ありとなる.年齢,PAC,性別はともに1をはさんでいないので有意差有りとなる.一方,高血圧罹病期間は1をはさんでいるため有意差がないことを示している. 関連を検討する変数が連続変数の場合,連続変数が1単位だけ変化した場合と範囲全体で変化した場合の両方のオッズ比が示される.通常,単位オッズ比を用いる. 名義変数の場合,たとえばデータ値が1と0の場合,1を基準にした場合と0を基準にした場合の両方が表示されるので,どちらを基準にするのかの注意が必要である.今回検討した「性別」で,女性を基準として男性のリスクを見たい場合は,水準1⊘水準2が各々MとFの方を用いる.*1  Wald検定:一連の母数の値がすべて0であるという仮説の検定1). 1) 医学統計学辞典 宮原英夫,池田憲昭,鶴田陽和(訳)朝倉書店

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