1909不随意運動の診断と治療 改訂第2版
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振   戦66第4章1.概  説 振戦(tremor)は,“身体の一部または全身に不随意に生じる素早い,常同的かつ律動的な反復運動”である.不随意運動のなかでは最も多く,様々な疾患で観察される.そのなかでも本態性振戦とParkinson病が代表疾患であり頻度も高い. 振戦の観察と記載は,その出現する状況(安静時,姿勢時,運動時)や性状(周波数や振幅が粗大か微細かなど)が必須であるが,随伴する他の症状について記載することも疾患の診断ないし病巣局在を決めるうえで大切である.振戦の記録に際しては,主動筋-拮抗筋の組み合わせを含む近位部および遠位部の筋群の電気的活動を表面筋電図で導出し,同時にビデオを用いた運動の記録も行うことが望ましい.2.分  類 振戦の分類法は様々なものが提唱されているが,本稿では責任病巣/原因ではなく,その出現する性状(どのような状態で最も強く出現するか)安静時振戦遅い振戦(3~6 Hz)軟口蓋の振戦(2~3 Hz)遅い振戦(3~6 Hz)速い振戦(7~11 Hz)Parkinson 病Parkinson 症候群Holmes 振戦口蓋振戦(口蓋ミオクローヌス)企図振戦,本態性振戦(“中枢型”)生理的振戦本態性振戦(“末梢型”)起立性振戦甲状腺機能亢進症慢性アルコール中毒ニューロパチーに伴う振戦(遅い場合もある)薬剤性振戦びまん性 Lewy 小体病進行性核上性麻痺多系統萎縮症(線条体黒質変性症)薬剤性パーキンソニズムCharcot-Marie-Tooth 病慢性炎症性脱髄性ニューロパチーGuillain-Barré 症候群の回復期糖尿病性ニューロパチー尿毒症性ニューロパチーポルフィリアに伴うニューロパチー交感神経刺激薬(イソプロテレノール)抗てんかん薬(バルプロ酸)抗躁うつ病薬(リチウム)抗精神病薬(ハロペリド-ル)抗不整脈薬(アミオダロン)動作・姿勢時振戦振戦の性状による分類表1

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