2015頭頸部エコーアトラス
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22Warthin腫瘍のほとんどは耳下腺に生じ,良性腫瘍では多形腺腫に次いで多い.50代以上の男性に好発する.多発性,両側性にみられる症例も珍しくない.軟らかい波動を触れる腫瘤として触知される.腫瘍の肉眼所見では薄い被膜を有し,ゼラチン状や膿状,茶褐色の泥水様の液が腫瘍組織間にしみこむように存在する.内部が肉眼的な囊胞部分を有することも少なくない.組織学的には,線条部導管上皮と類似した好酸性の細胞質をもった2層の円柱上皮細胞と上皮下のリンパ組織からなり,囊胞を形成して上皮が乳頭状,管腔状に増殖する.超音波所見では境界は明瞭平滑で,形状は整,扁平でややいびつな楕円形を呈することが多い.分葉することはまれであるが,多発する腫瘍が重なって分葉状にみえることがある.耳下腺の下極に生じることが多く,耳下腺外のリンパ節腫脹との鑑別が必要になることもある.内部エコーはほぼ均質,低エコーを呈し,後方エコーの増強が認められる.腫瘍内にしばしば囊胞部分を伴う.肉眼的な囊胞部分以外の充実性部分では,細かい血流シグナルが豊富に認められるのが特徴である(図₁₅).2Warthin腫瘍a Warthin腫瘍 Bモード(縦断像) 境界は明瞭平滑で,形状はほぼ整,扁平でややいびつな楕円形を呈する.内部エコーはほぼ均質,低エコーを呈し,後方エコーの増強が認められる.腫瘍内に囊胞部分(→)を認める.b Warthin腫瘍 カラードプラ(縦断像) 充実性部分には全体に細かい血流シグナルを豊富に認めるが,囊胞部分(→)には血流はみられない.腫瘍耳下腺後方エコーの増強囊胞部分腫瘍15a-07.5cm/s+07.515b

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