2129エキスパートが答える!アトピー性皮膚炎Q&A
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Chapter2アトピー性皮膚炎の治療30QuestionAnswerAnswerステロイドのランクの選択は皮疹の重症度から選択する ステロイド外用薬は優れた抗炎症作用を持つ一方で,長期使用に伴う皮膚萎縮などの副作用が出現する可能性も考慮することが重要である.ステロイド外用薬は,必要以上に強くなく,かつ十分に効果が得られるものを選択する必要がある.日本皮膚科学会による「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」1)では,それらを勘案したうえで個々の皮疹の重症度からステロイド外用薬のランクを決める基準が記されており(表1),実際の臨床でも概ねこれらに沿った選択がなされている. 体幹や四肢の皮疹については,以下のような基準でランクが決められる.すなわち,炎症症状に乏しい軽度の乾燥のみがみられる場合には,ステロイド外用薬を使用せず,保湿剤のみの外用を行う.乾燥症状に加えて,軽度の紅斑がみられる場合や,アトピック・ドライスキンとよばれる鱗屑を主体とし触診でザラザラした変化を触れる場合には,その部位にミディアムクラス以下のステロイド外用薬を用いる.中等度までの紅斑,鱗屑,少数の丘疹,搔破痕などを主体とする場合には,ストロングないしミディアムクラスのステロイド外用薬を第一選択とする.高度の腫脹,浮腫,浸潤ないし苔癬化 (図1)を伴う紅斑,丘疹の多発,高度のPoint1keyword成人アトピー性皮膚炎のステロイド外用薬のランクはどのような基準で決めるのですか?11ステロイドのランクの選択は,皮疹の範囲など患者の個体としての重症度と個々の皮疹の重症度を勘案する.ベリーストロングクラスでも十分な効果が得られない痒疹結節には,ストロンゲストクラスを使用することもある.Point 1Point 2表1 成人を対象とした皮疹の重症度とステロイドのランクの選択の目安皮疹の重症度外用薬の選択重症高度の腫脹 /浮腫 /浸潤ないし苔癬化を伴う紅斑,丘疹の多発,高度の鱗屑,痂皮の付着,小水疱,びらん,多数の搔破痕,痒疹結節などを主体とする必要かつ十分な効果を有するベリーストロングないしストロングクラスのステロイド外用薬を第一選択とする.痒疹結節でベリーストロングクラスでも十分な効果が得られない場合は,その部位に限定してストロンゲストクラスを選択して使用することもある中等症中等度までの紅斑,鱗屑,少数の丘疹,搔破痕などを主体とするストロングないしミディアムクラスのステロイド外用薬を第一選択とする軽症乾燥および軽度の紅斑,鱗屑などを主体とするミディアムクラス以下のステロイド外用薬を第一選択とする軽微炎症症状に乏しく乾燥症状主体ステロイドを含まない外用薬を選択する(古江増隆,佐伯秀久,古川福実,ほか:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン.日皮会誌 119:1515-1534, 2009より引用)

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