2134皮膚科研修ノート
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78皮溝が刻まれ,いわゆる「皮野」が形成される(図13).3皮疹を形容する表現 皮疹を記載するうえでは,上記の皮疹の種類に加えて,それを形容する表現が必要である.a 色 通常の紅斑は単に紅斑でよいが,その色調が通常と異なる場合には,淡紅色斑,暗紅色斑,紅褐色斑,紫紅色斑などと表現する.丘疹,結節などでも色を表記することが重要で,紅色,正常皮膚色(常色と表現することもある),褐色,黒褐色,灰褐色,黒色などと表現する.b 大きさ 皮膚科では伝統的に物の大きさになぞらえ,米粒大,小豆大,大豆大などと表現されてきたが,豌豆大,鳩卵大などといってもピンとこないし,大豆でも乾燥状態と茹でた後では全く大きさが異なることから,現代においては紛らわしい表現である.皮疹が単発ないし2~3個程度のときは面倒がらずに物差しを当てて数字で記載するのがよい.異なった大きさの皮疹がたくさんある場合には,「小豆大から大豆大までの」「2 ~10 mmの」などと表現する.c 形 ある程度以上の大きさの皮疹では,その形を記載する.円形,長円形,環状,馬蹄形,地図状,不整形などの言葉で表現する.さらに必要に応じて,周囲の正常皮膚との境界が明瞭であるか,不明瞭であるかも記載する. 腫瘤の場合は半球状隆起,扁平隆起,不規則に隆起,などの形状を表す表現を用い,表面が平滑なのか不規則な凹凸があるのか,などの点を記載する.d 部位,分布 皮疹が存在する部位を解剖学用語を用いて表現する.顔面,頸部,膝などという漠然とした表現はなるべく避け,左頰部,右後頸部,左膝蓋部のように部位が特定できる表現を用いる.できれば人形図に皮疹の部位を書き込んだスケッチを付けるとよい.紙カルテから電子カルテの時代になってスケッチを描くのが難しくなったが,適切なスケッチにより皮疹の存在部位を正確に書き込めれば,部位を文字で表現することは省略してもよい. 多発する皮疹の場合は,その分布状態を表現しておくことも重要である.散在(パラパラと不規則に散らばる),融合(くっついて合わさっている),集簇(一部分に集まっている),帯状(神経支配領域に一致して並ぶ)などの表現を用いる.「多発散在し,一部で集簇している」「丘疹が集簇し,貨幣大の局面を形成している」などと表現すると皮膚科らしくなる.e 触診所見 あわせて触診所見も記載する.詳細は前項にあるので省略する.4実際例 図14の皮疹を見てみよう.構成要素の発疹は紅斑と鱗屑のみで比較的単純な皮疹であるが,それを詳しく形容すれば以下のようになる.「腹部中央の臍部周辺に,米粒大から貨幣大までの大小の類円形紅斑が多発し,その一部は融合して不整形の大きな局面を形成している.紅斑には白色の細かい鱗屑が多量に付着して軽度隆起しており,周囲の正常皮膚との境界は明瞭であ図14 尋常性乾癬

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