2134皮膚科研修ノート
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第2章 皮膚科医の基本皮膚科の診察A75そのための入門がいわゆる発疹学であり,皮膚科医を志す者にとって必須の分野である.2発疹の種類 教科書では原発疹と続発疹に分けて記載されているが,あまり意味がないので,ここでは区別せずに記載し,わかりやすく実践的に解説する.a 紅 斑 皮膚が赤くなっていればとりあえず紅斑と表現してよいが,紫斑との鑑別のため,指で押してみて,圧迫によって褪色し指を離すと元の色に戻ることは確認しておく.紅斑は真皮の血管の拡張によってもたらされる色調変化であるが,炎症によるもの(図1)と非炎症性のもの(図2)がある.b 紫斑(図3) 真皮の血管の破綻により血球成分が血管外に漏出するために起こる色調変化である.通常,紫色であるが,新鮮な皮疹は紅色を呈する.紅斑との鑑別のため教科書では硝子圧子で押せと書いてあるが,そんな面倒なことをする必要はなく,前述のように指で押してみるだけで十分である.c 丘疹,結節,腫瘤 限局性の小さな皮膚の隆起,いわゆるブツブツのことを丘疹(図4)とよぶ.大きなブツブツは結節(図5)とよばれるが,両者の区別は相対的なものであり,明確に線引きできるものではない.何となく小さめの図1 紅斑(多形滲出性紅斑)図2 毛細血管拡張性紅斑(肝硬変に伴うクモ状血管腫)図3 紫斑(ステロイド紫斑)図4 丘疹(顔面播種状粟粒性狼瘡)図5 結節(結節性痒疹)

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