2135消化器研修ノート
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222DOs1概 要 早期胃癌に対する内視鏡治療として内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resec-tion:EMR)が世界に先駆けて進歩,普及し早期胃癌治療として確立した.しかし,EMRは一括切除できるサイズに制限があり,大きな病変の場合は分割切除および不完全切除となることが多い.そのため,正確な病理診断に基づく根治性の評価が難しく,遺残・再発が問題点としてあげられていた.これらを解決するために考案されたのが,内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)である.ESDは病変周囲の粘膜を切開後,直接粘膜下層を剝離し腫瘍を切除する方法である.ESDにより病変の確実な一括切除が可能となり,より正確な病理組織学的検索が可能となった(図1). このような理由からESDは2006年度よりは早期胃癌に対する保険適応手技となり,2008年度からは早期食道癌に,2012年度 内視鏡的治療の適応病変について十分に理解しよう. 治療前には,既往歴やアルコール飲酒歴の確認,抗血小板薬や抗凝固薬の服用がないか確認しよう. 偶発症に対する対応を熟知しよう.図1 胃体下部大弯の早期胃癌a:0-IIa,60 mmの早期胃癌.b:病変周囲の5 mm程度外側に全周マーキングを行う.c:粘膜下層をデュアルナイフで剝離を進める.d:一括切除後,潰瘍底の露出血管は止血鉗子で凝固止血する.e:切除病変.(口絵No.15 p.iv参照)abcdeB 内視鏡検査内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)13

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