2135消化器研修ノート
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300DOs1概 念 刺激や感染などにより食道粘膜に傷害を起こしたものを食道炎という.最も頻度の高い胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)は胃食道逆流を原因とするが,それ以外に,全身性疾患や感染症,薬物によるものなど,その原因は様々であり鑑別が重要である.2病因・分類a 逆流によるもの………………………1) 胃食道逆流症(GERD) 胃食道逆流症(GERD)は,胃酸を中心とした胃内容物が食道内に逆流して食道粘膜に炎症を起こし,胸やけや呑酸,胸痛などの不快な症状を呈する疾患である.GERDのうち内視鏡検査により食道粘膜にびらんや潰瘍を認める逆流性食道炎は約30%で,内視鏡所見を認めない非びらん性胃食道逆流症(non-erosive reflux disease:NERD)が約70%である.亀背,食道裂孔ヘルニア,強皮症,カルシウム拮抗薬や亜硝酸薬などによる下部食道括約筋(LES)圧低下と,過食による胃壁伸展や高脂肪食摂取などで誘発される一過性LES弛緩(TLESR)の増加により,胃内容の食道内逆流が増加することが原因となる.また,高脂肪・高蛋白食やHelicobacter pylori除菌による胃酸分泌過多や食道運動障害による食道クリアランス不全も原因となる.これらの理由からわが国においても欧米並みにGERD患者数は増加傾向にある.2) 胃切除後の逆流性食道炎 胃切除後の逆流性食道炎は胃切除による噴門または幽門機能の喪失から,胆汁・膵液などの十二指腸内容が食道に逆流することにより生ずる.逆流液が胃酸を主とするものと,アルカリである十二指腸液を主とするもの,両者の混合型が存在する.b 感染によるもの……………………… おもに免疫不全患者の日和見感染にみられる食道病変であるが,健常者にも発症しうる.カンジダ,単純ヘルペスウイルス(HSV),サイトメガロウイルス(CMV),結核などがある.1) カンジダ食道炎 軽症例では白色の点状小隆起の散在,重症例ではびまん性の黄白色隆起の強固な付着を認める.白色付着物を鉗子などで回収し,鏡検や培養を行うことで確定する.HSVやCMVとの合併感染に注意をする必要がある.2) HSV 中~下部食道に小水疱を形成し,それが破裂して類円形の小潰瘍や浅い地図状潰瘍となる.HSVは扁平上皮内にとどまるため,潰瘍辺縁からの生検が望ましい.組織学的に上皮細胞の風船用腫大,核内封入体を認める.3) CMV 中~下部食道に白苔付着や発赤の少ない小潰瘍や打ち抜き様潰瘍が多発する.CMVは扁平上皮よりも血管内皮細胞,線 食道炎の鑑別には病歴や服薬状況の詳細な聴取を心がけよう. 食道胃接合部から離れた食道炎をみたらGERD以外の疾患を考えよう. 単発する食道びらんをみたらまずは食道癌を疑おう.A 上部消化管GERD・NERD・食道炎1

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