2135消化器研修ノート
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第5章 消化管疾患の診療303上部消化管A②胃切除後の逆流性食道炎 胃切除後の逆流性食道炎は酸分泌抑制薬のみでは効果が不十分なことが多く,カモスタットメシル酸塩(フオイパン®)の追加投与を行う.③NERD NERDは逆流性食道炎の半量のPPIが保険適用である.しかし,PPI抵抗性のNERD患者が多く存在するため,粘膜保護薬,消化管運動促進薬,漢方薬に加えて,抗うつ薬・抗不安薬なども用いられる.3) 内視鏡治療 内視鏡的食道噴門部縫縮術(endoluminal gastroplication:ELGP)による胃食道逆流の防止術が行われる.しかし,現在キットの製造中止で施行することができない状況である.4) 外科的治療 噴門部形成による逆流防止手術(Nissen法,Toupet法)が行われ,近年は腹腔鏡下手術が主流である.b 感染性食道炎………………………… カンジダ食道炎に対してはミコナゾールやアムホテリシンBを,HSV食道炎はアシクロビルやバラシクロビルを,CMV食道炎はガンシクロビルやホスカルネットを投与する.結核は標準的なイソニアジド,リファンピシン,エタンブトール,ピラジナミドの4剤療法を行う.c 腐食性食道炎………………………… 腐食性食道炎はPPIや食道粘膜保護薬(アルロイドG®)などを投与する.炎症が強い場合はステロイドの投与が必要となる場合がある.また,治癒過程で強い狭窄が生じた場合はバルーン拡張術を考慮する.d 好酸球性食道炎……………………… 好酸球性食道炎はまずはPPI投与を行う.PPI投与にて改善が得られない場合は吸入用フルチカゾン(フルタイド®)の嚥下を行う.難治例には経口ステロイドの投与が必要となる.アレルゲンとなる食品が同定できれば,その食品を避けることで改善するが,食物抗原を同定することは困難な場合が多い.e 全身性疾患…………………………… 全身性疾患に伴うものは,原疾患に対する治療が奏効する場合が多いため,そちらを優先しつつ,症状改善のためPPIや粘膜保護薬を併用する.6患者・家族への説明 食道炎自体は予後良好な疾患であり,適切な治療により軽快する.しかし,GERDは再発しやすいため,継続した内服治療が必要となることが多い.7他科への紹介 GERD症状が胃食道逆流と無関係で,PPIの効果がなく,明らかな器質的異常を認めない場合は,“機能性胸やけ”が疑われ,心療内科や精神科に紹介することも考慮する必要がある.NERDに対するPPIの有効率は50%程度であり,胃食道逆流以外に食道過敏や心理的要因など複雑な病態が考えられている.Pitfall!DON’Ts 症状の改善がないのに漫然とプロトンポンプ阻害薬(PPI)を投与してはいけない. NERDはGERDの軽症型とは考えはいけない.愛知医科大学消化管内科 春日井邦夫

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