2135消化器研修ノート
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460DOs1概念・疫学 中年以降の女性に好発し,慢性,進行性に肝障害をきたす疾患である.原因は不明であるが,肝細胞障害の成立に自己免疫機序の関与が想定され,副腎皮質ステロイドが奏効する.自己抗体の出現パターンにより1型(抗核抗体や抗平滑筋抗体)と2型(抗LKM-1抗体)に分類され,ともに高IgG血症を高率に伴う. わが国での患者数は約1万人とされ,慢性肝炎の約1.8%を占める.男女比は1:6,診断時年齢は60歳代に一峰性のピークがあり,高年齢化と男性比率の増加が最近の傾向である1).2症 状 健診などで無症状の肝機能異常で発見されることが多い.急性肝炎様に発症する場合は,全身倦怠感,食思不振,黄疸などの症状を伴う.診断時に肝硬変へ進展している症例もあり,クモ状血管腫,下腿浮腫,腹水を伴うことがある. 本症は,何らかの機序により自己の肝細胞に対する免疫学的寛容が破綻し,自己免疫反応によって生じる疾患である.遺伝的素因として,わが国ではHLA-DR4との相関がある.発症誘因として,先行する感染症や薬剤服用,妊娠・出産との関連が示唆されており,ウイルス感染や薬物代謝産物による自己成分の修飾,外来蛋白と自己成分との分子相同性,ホルモン環境などが発症に関与する可能性がある.3検 査 トランスアミナーゼ主体の肝機能検査異常,抗核抗体や抗平滑筋抗体(保険未収載)の陽性所見,IgG(γ-グロブリン)が上昇する.抗平滑筋抗体は抗核抗体より特性が高い.抗核抗体と抗平滑筋抗体が陰性の場合には,陽性頻度は低いが抗LKM-1抗体の測定も考慮する.画像検査で特異的所見はないが,重症例では単純CTで肝臓が不均一な低吸収像を呈することが多い.なお,肝生検は本症の診断に重要な検査である.典型例では門脈域の線維性拡大とリンパ球,形質細胞の浸潤を伴うinterface hepatitis所見と肝細胞ロゼット形成が認められる. ウイルス性肝炎,薬物性肝障害,非アルコール性脂肪性肝疾患など既知の肝障害の否定が重要である. プロトロンビン時間が60%以下あるいは総ビリルビンが5 mg/dL以上の場合,専門医療機関への紹介を考慮する. 副腎皮質ステロイドが有効であり,治療目標は血清トランスアミナーゼの持続正常化(ALT 30 IU/L以下)である.抗核抗体の測定はELISA法では陰性となる例が多いことから,培養HEp-2細胞を用いた間接蛍光抗体法で行う.コツ血清トランスアミナーゼ上昇が比較的軽度でも,病理学的活動性が著明な症例も少なくないため,組織学的検査は有用である.Pitfall!A 肝 臓自己免疫性肝炎9
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