2135消化器研修ノート
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第6章 肝胆膵疾患の診療461肝 臓A4診 断 本症は,改訂版国際診断基準2)を参考とし,わが国の診断指針(表1)3)を用いて診断する.診断に際しては,既知の肝障害を除外することが重要であり,他の肝疾患との鑑別に輸血歴,薬物・サプリメント服用歴,飲酒歴などを詳しく問診する.特に薬物性肝障害や非アルコール性脂肪性肝疾患では,抗核抗体が陽性となる症例があり,詳細な薬物摂取歴の聴取や病理学的検討が重要である.また,急性発症例では抗核抗体陽性やIgG高値を認めない場合があるので留意する.診断後には重症度評価を判定基準(図1)3)で行い,対応を判断することが大切である(図2)3).5治 療 副腎皮質ステロイドが第一選択薬である.プレドニゾロン導入量は0.6 mg/kg/日以上とし,中等症以上では0.8 mg/kg/日以上を目安とする.早すぎる減量は再燃の原因となるため,プレドニゾロン5 mg/1~2週を減量の目安とする.プレドニゾロン投与量が0.4 mg/kg/日以下では,2.5 mg/2~4週を目安に漸減し,最低量のプレドニゾロンを維持量として,長期(2年以上)投与する. ウルソデオキシコール酸が副腎皮質ステロイドの減量時に併用あるいは軽症例に単独で投与することがある.繰り返し再燃する例ではアザチオプリン1~2 mg/kg/日の併用(保険未収載)を考慮する. 重症例ではステロイドパルス療法や肝補助療法(血漿交換や血液濾過透析)などの特殊治療を要することがある.早期の時点か表1  自己免疫性肝炎の診断指針・治療指針   (2013年,抜粋)診断1. 他の原因による肝障害が否定される2. 抗核抗体陽性あるいは抗平滑筋抗体陽性3. IgG高値(>基準上限値1.1倍)4. 組織学的にinterface hepatitisや形質細胞浸潤がみられる5. 副腎皮質ステロイドが著効する 典型例上記項目で1.を満たし,2.~5.のうち3項目以上を認める. 非典型例上記項目で1.を満たし,2.~5.の所見の1~2項目を認める.〔厚生労働省難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班:自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン(2013年).Ver.1. 2014年3月.〕図1 重症度判定基準〔厚生労働省難治性疾患克服研究事業「難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究」班:自己免疫性肝炎(AIH)診療ガイドライン(2013年).Ver.1. 2014年3月.〕臨床徴候①肝性脳症あり②肝濁音界縮小または消失画像検査所見①肝サイズ縮小②肝実質の不均質化臨床検査所見①AST,ALT>200 U/L②ビリルビン>5 mg/dL③プロトロンビン時間<60%重症 :次の1,2,3のいずれかがみられる    1. 臨床徴候:①または②    2. 臨床検査所見:①+③または②+③    3. 画像検査所見:①または②中等症:臨床徴候①②,臨床検査所見③,画像検査所見①②がみられず,    臨床検査所見①または②がみられる軽症 :臨床徴候①②,臨床検査所見①②③,画像検査所見①②のいずれもみられない改訂版国際診断基準は感受性に優れ,非定型例も拾い上げ診断できる.簡易版は特異性に優れ,ステロイド治療の決定に参考となる.コツ

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