2166基礎疾患をもつ小児に対する予防接種ガイドブック
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27予防接種の種類と安全性の確保◦ 第 2 章生ワクチンも不活化ワクチンも,ワクチンの主成分は病原体の抗原である.しかし製剤としてのワクチンには,それ以外にもさまざまな成分が含まれたり意図的に添加されている.主成分である病原体やその関連抗原も,製剤によってさまざまである(表1).生ワクチンは弱毒化されたウイルスまたは細菌であるが,弱毒化の方法は種々で,ヒトの病原体に近い動物ウイルスを利用する方法(種痘,5価ロタウイルス)のほか,自然宿主ではない細胞による継代によって弱毒株を選択していく方法(麻疹,ムンプス,風疹,水痘など)があり,それぞれ弱毒化のマーカー(温度感受性:比較的低温では増殖がよいが,人間の体温以上では増殖が抑制される)などがあり,弱毒の安定性にもやや差がある.不活化ワクチンの場合,病原体全体を不活化したもの〔日本脳炎,不活化ポリオ,インフルエンザ(H5N1)〕,病原体の構成物(蛋白や多糖体)や毒素を不活化したもの(蛋白:DPT,B型肝炎,ヒトパピローマウイルス,多糖体:Hib,肺炎球菌)がある.培養できない微生物抗原を多量に得るには,遺伝子組み換え技術を用いる.主抗原以外の添加物(表2)について,生ワクチン,不活化ワクチンごとに述べる.生ワクチンの場合には,接種時にワクチン株が生きていることが必要なので,しばしば凍結乾燥により長期の安定性を確保する.そこで,培養に用いる細胞成分のほかに,安定剤,緩衝剤,抗菌薬,着色剤などが添加される.チメロサールのような保存剤は用いない.不活化ワクチンの場合には,ホルマリンなどの安定剤,リン酸塩などの緩衝剤,食塩などの等張化剤,チメロサールや2-フェノキシエタノール(2-phenoxyethanol:2-PE)などの保存表1●ワクチンの有効成分(抗原物質)有効成分ワクチンの種類弱毒ウイルス麻疹,風疹,ムンプス,水痘,ロタウイルス弱毒細菌BCGウイルス全粒子(核酸を含む)ポリオ,日本脳炎,狂犬病,A型肝炎,インフルエンザ(H5N1)ウイルス様粒子(VLP)ヒトパピローマウイルス構成蛋白B型肝炎,インフルエンザHA(季節性),百日咳トキソイドジフテリア,破傷風,百日咳莢膜多糖体(結合型)Hib,肺炎球菌(PCV13, PHiD-CV10),髄膜炎菌(MCV4)莢膜多糖体(非結合型)肺炎球菌(PPSV23)表2●ワクチンの添加物(例)分類種類安定剤・等張化剤,希釈液蛋白(アルブミン),アミノ酸(グルタミン酸等),糖類(乳糖,ソルビトール,ブドウ糖,白糖),ポリソルベート80,ホルマリン食塩,M-199など保存剤抗菌薬,チメロサール,フェノキシエタノールアジュバントアルミニウム塩,MPL,スクアレン緩衝剤(pH調節剤)リン酸塩着色剤フェノールレッド不活化剤ホルマリン2.ワクチンの成分と管理
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