2166基礎疾患をもつ小児に対する予防接種ガイドブック
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313.接種時の注意点と接種不適当者・接種要注意者予防接種の種類と安全性の確保◦ 第 2 章シーの原因が特定された場合には,同じ成分を含有する異なるワクチンでも同様の反応が起こる可能性があるので同様に接種しない.生ワクチンは生体内で微生物が増殖し,胎児への影響(安全性)が確認されていないので妊娠中は接種禁忌である.また,風疹ワクチンまたはMRワクチンについては,先天性風疹症候群の理論的リスクを考えて接種後2か月の避妊が指示されている.ただし,誤って妊娠中に接種してしまった場合や接種直後に妊娠した場合であっても,経験的には胎児への影響は,ないか非常に小さいとされている.BCG接種痕がケロイドになる例があり,ケロイド体質の小児への接種は注意が必要である.またBCGは,上腕の中央部付近に接種し,肩やそれに近い部位はケロイドになりやすい傾向があるので避ける.そのほかの不適当者は,先天性の重篤な細胞性免疫不全児に対する生ワクチン接種や,強力な免疫抑制がかかる治療中の児などが含まれる.詳細は第4章(p.53~119)参照のこと.接種要注意者心疾患,腎疾患,免疫不全,重症心身障害,免疫不全,悪性腫瘍,熱性けいれん,てんかんなどの基礎疾患のある児への接種に関しての詳細は第4章(p.53~119)を参照されたいが,そのほかにも実際の接種に際してはさまざまな留意点がある.1) 基礎疾患生物学的製剤の治療中または治療後γ-グロブリンや輸血製剤は麻疹や風疹の抗体を含有しているので,それらを投与されたあとは,麻疹などの生ワクチンの増殖が阻害されて免疫の獲得に影響が出る可能性があるとして,特に大量のγ-グロブリン製剤投与後は半減期を考慮しながら一定期間(6か月間)接種を避けることになっている.風疹,水痘,ムンプスなどについて明確なデータがあるわけではないが,それぞれこれに準じている.不活化ワクチンや経口ワクチン(ロタウイルス,生ポリオ),BCGの接種に関しては,γ-グロブリンが免疫獲得に影響を及ぼすとのデータはない.また,モノクローナル抗体であるパリビスマブ(シナジス®)は,RSウイルス以外の病原体に関与しないので制限はない.日本リウマチ学会の見解(2013年3月)では,生物学的製剤使用者における不活化ワクチンの抗体獲得や原疾患の増悪には無関係として,不活化ワクチンの接種を勧めている.しかし,リツキシマブ使用中の者においては抗体獲得が低下する可能性があるので,投与1週間以上前までの接種を勧めている.生ワクチンに関してはデータが不十分で,治療中の初回接種は行わず,追加接種についても十分な注意が必要としている.第4章「1.心臓血管系疾患」「2.腎臓疾患」「3.悪性腫瘍」「8.固形臓器・造血細胞移植」(p.54~69,p.91~96)もあわせて参照されたい.2) 接種に際して悩みやすい状態 (基礎疾患以外)基礎疾患ではないが,しばしば接種にあたって接種医が悩みやすい状態を以下にあげて,一般的な考え方を示す.a)軽症の上気道炎など急性疾患であっても,明らかな発熱がなく,接種医が軽症と判断できれば接種可能である.ただし,発症の初期にはその後の疾患の経過が予測しづらく,また原疾患による発熱がみられワクチンによる発熱と区別がつきづらいので,積極的には接種せず,回復期に入ってきた時期に接種する方法もある.その場合,やや長引く咳嗽や鼻汁があっても接種は可能である.b)急性疾患の罹患後麻疹,風疹,ムンプス,水痘など,ウイルス性の全身感染症に罹患したあとは,症状と全身状態の回復を待つ.特に麻疹の場合には約4週
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