2166基礎疾患をもつ小児に対する予防接種ガイドブック
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106Q1 熱性けいれんの発作を起こした場合,次のワクチン接種まで2~3か月待ったほうがよいのですか?厚生労働科学研究事業「ハイリスク児・者に対する接種基準と副反応に関する研究班」(前川・粟屋班)によるガイドライン4)では,最終発作から2~3か月の経過観察期間をおくことが接種基準の最初に示されていました.その基準が採用されたおもな理由は,以下の2点です.・ 1994(平成6)年の予防接種法改定以前は,1年以内にけいれんがみられたものは接種禁忌とされていた.その後も,6か月程度など一定の経過観察期間を設けられていることが実臨床においてしばしばみられ,それに対し,具体的な経過観察期間を設定する必要が当時あった.・ 特に,乳児の初発例などの場合に,Dravet症候群のような難治性てんかんや,その他まれな神経疾患の初発症状との鑑別が問題になることがあり得る.その場合,けいれん後直ちにワクチンを接種すると,原疾患とワクチン接種との因果関係が問題になることがあり得る.このように2~3か月の経過観察期間は,接種による医学的リスクそのものを評価して採用されたわけではなく,当時の実情を考慮し現実的に受け入れやすい基準として提案されたものでした.最終発作からの期間によりワクチン接種後のリスクが変わるという報告はみられません.すなわち,その期間には根拠となるエビデンスは存在しません.したがって今後は,熱性けいれん症例にも適切な時期に遅滞なくワクチン接種を行うことが望ましいと考えます.どうしても他疾患との鑑別が懸念される場合にのみ当面の経過観察期間を設けることはやむを得ませんが,それでも,長くとも2~3か月程度にとどめることが望ましいです.Q2 熱性けいれんの既往のある児に対してワクチン接種を行う際,脳波検査などをあらかじめ確認しておく必要がありますか?予防接種を実施する前に脳波検査を求められることはまれではありません7)が,脳波検査により何が検証できるかに関しては,必ずしも明確には理解されておりません.熱性けいれんの既往のある児にワクチン接種しても大丈夫だろうか,という漠然とした不安のために脳波検査を実施し,異常がなければ安心して接種することが現実としてあるのかも知れません.ところが,熱性けいれん症例においては,その好発年齢に脳波検査しても通常,異常はみられません.すなわち,脳波異常の有無とその後の熱性けいれん再発には何の関連もなく,脳波が正常であってもワクチン接種後の発熱に際し熱性けいれんが再発することは当然あり得ると考えないといけません.脳波異常がないことがワクチン接種の安全性の保障にはならないことは明らかです.一方,てんかん性脳波異常が見つかった場合は,将来のてんかん発症を予測するか否かに関しての議論があります.Kanemuraらは,てんA1A2Q&A
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