2168新版 産婦人科手術シリーズⅢ
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3 LEEPコニゼーション子宮頸部の病変に対する診断的ないし治療的手術手技の一つとしてloop electrosurgical excision procedure(LEEP法)を用いた子宮頸部病巣切除法(LEEP surgery)がある.LEEP surgeryは細いワイヤループ型の電極を用い,病巣を切除する電気外科切除法であり,無線周波数電気外科電流を用いる点で電気メスとほぼ同じ原理といってよい.ループの大きさは,1.0×1.0mm~2.0×0.8mmと数種類あり,ループの大きさに応じて組織を切除できる.brend modeを用いることで止血を行いつつ切除を行えるため出血量が少なく,また一つの操作に数秒の時間しかかからず短時間に切除できる利点を有する.疾患の性質上,術後の経過観察が重要であるが,この点についてもLEEP surgeryはSturmdorf縫合を行う必要がない.短時間の操作,少ない出血量という点ではレーザーや超音波メスを用いた円錐切除術とほぼ同様の特徴をもつが,さらにLEEP surgeryでは設備費用が安価なこと,手技の習得が容易であることなどすぐれた点がある.しかし,病巣が大きくなると1回の操作で切除できず,病変を分解せざるを得ないため検体の扱いに注意が必要となる.また深い切除ができないため内頸部型の病変には向いていないといった欠点もある.LEEP surgeryを行う際には,専用の絶縁体で被覆された腟鏡を使用し,接触による電極の破損を防ぐ.操作を行う前にはルゴール液で病変の範囲を十分に確認し,用いる電極とどのように電極を動かして切除するのかを選択することが重要である.1度の操作で病巣全体を切除できることが望ましいが,分割して切除する場合には,できる限り大きな切片で分割しすぎないように注意する.電極は特に力を入れなくても容易に組織を切断していくので,静かに挿入し水平に移動したのち手前に引き抜く(図16).移動するとき強引に電極を動かすと切除面が斜めになるので,組織が自然に切断されるように移動するとよい.およそ数秒で1回の操作が行える.切除時には,多量の煙が生じるので吸引を行わないとまったく視野がとれなくなる.brend modeを用いるので切除面よりの出血はわずかであるが,止血操作は,専用のボール電極を用いて行う.病巣を分割して切除する場合には(図17),切除のたびに止血すると病理検査の際に断端の熱変性が強くなるので止血操作は最後に行う.病巣を分割した場合には得られた検体を慎重に扱い位置関係を誤らないようにしなくてはならない.このようなときには切除法や切除順を決めておくとよい.このような適応で行うと,出血量は極めて少なく約10分くらいの操作で終了する.図15 頸管の癒着や瘢痕性の狭窄の予防ネラトンカテーテルなどを子宮口に挿入し術後に頸管の癒着や瘢痕性狭窄が起こらないようにする.174 ◆ 臨床解剖学に基づいた 新版 産婦人科手術シリーズ III
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