2169日常診療における子どもの睡眠障害
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太田総合病院記念研究所附属診療所太田睡眠科学センター加藤久美第5章一般外来での検査2ホームモニタリング①パルスオキシメトリの使い方・見方1パルスオキシメトリとは2睡眠時無呼吸のスクリーニングに用いるパルスオキシメトリ機器1)パルスオキシメトリの原理パルスオキシメトリとは経皮的に動脈中の酸素飽和度を測定する装置であり,赤色光と赤外光の2つの波長の光の吸光度より動脈血中の酸素飽和度を算出する.血液ガス分析にて測定する動脈血酸素飽和度(SaO2:arterialoxygensaturation)と区別するため,経皮的にパルスオキシメトリを用いて測定した値はSpO2(percutaneousoxygensatura-tion)と表記される1).2)パルスオキシメトリの限界パルスオキシメトリは非侵襲的にSpO2を測定できる機器であるが,以下の場合に正確な測定が困難となるため,注意が必要である1)2).a.末梢循環障害により脈波の検出が困難な場合b.体動c.プローブの装着不良d.爪や皮膚の汚れやマニキュアの使用1)必要な機能睡眠時無呼吸の在宅スクリーニングを行うには,以下の機能が必要となるため,睡眠時無呼吸スクリーニングを目的とした機器(図1)を用いるべきである.a.メモリー機能本体にメモリー機能があり,コンピューターに専用ソフトを用いてデータダウンロードができる.b.短い移動平均パルスオキシメトリで表示される値は過去数秒間の平均値(移動平均)であり,機種によってその設定が異なる.無呼吸や低呼吸が生じる際には,脈拍の増加を伴う酸素飽和度低下を生じ,呼吸が再開すると酸素飽和度は上昇,脈拍が低下する.これらは秒単位で変化する(図1).このため,睡眠時無呼吸のスクリーニングには,移動平均の短い,細かく変化を捉えることができる機器が適している.c.小さな本体通常は手首に,乳児では足首に装着する場合もある.この他,機種によっては体動を検知できる機器もある.2)算出される数値データ機種によって違いはあるものの,多くの機種では以下の数値データを得ることができる.178第5章一般外来での検査

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