2174眼科研修ノート 改訂第2版
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第4章 眼科医が知っておくべき知識と制度501眼科医に必要な社会的知識と制度Bの記載は医師にとって重要なものとなる. また,診療録の性格上,その記載においても,修正ペン等を使用することなく,修正をする場合には二重線での修正を行う必要がある.また,責任の所在を明らかにするために署名の記載も必要である.診療録の改ざんは絶対にしてはいけないことであるが,改ざんを行ったと勘違いされないような診療録の記載方法で行わなければならない. なお,保険診療においては診療録への記載が算定要件である診療報酬点数は数多く存在するので,保険請求の立場からも保険医は十分に診療録に記載をする必要がある.b 傷病名について……………………… 医学的に妥当な傷病名を医師が決めることはいうまでもない.保険診療においては,診療報酬明細書に,本来存在しないような傷病名を記載する保険医も見受けるが,これは,いわゆるレセプト病名というもので,保険診療上,虚偽の記載とも受け取られかねないので,してはいけないことである.また,傷病名については,適宜,整理が必要である.傷病の転帰の記載は忘れがちなことであり,たとえば,急性咽頭炎や急性結膜炎という傷病名が何年も継続していることはレセプトチェックを行われていないことの表れでもある. ただ,医学的に一般論で説明のつかない治療が実施されたりする場合があるのも事実である.このような場合には,診療報酬明細書に簡潔に診療内容をまとめた症状詳記を客観的事実や診療行為の妥当性を説明するために添付する.c 各種診療報酬点数について………… それぞれの診療報酬点数に応じて算定要件という決まりごとがある.これは,厚生労働大臣が定める診療報酬点数表や厚生労働省から周知される算定のための留意事項通知により決められている.また,点数については2年毎に診療報酬点数改定が行われており,最近では平成26年に行われている.したがって,詳細な算定要件については定期的に見直しが行われている現状ではあるが,そのポイントは基本的な考え方に基づいている.そこで,基本的な考え方を理解するための一助として以下に算定要件についての例示を行ってみる.①基本診療料,入院基本料等加算等について 入院基本料は医療機関の機能に応じて病棟の類型から分類して,在院日数に応じて算定される点数となっている.この入院基本料を算定するにあたっては,入院診療計画の策定,医療安全対策の実施,院内感染対策の実施及び褥瘡対策の実施が最低限求められている.特に保険医として考えると各種対策のための委員会への出席等はもちろんであるが,特に,受け持ちの患者が入院して7日以内に入院診療計画を看護師などと共同で作成し,それを説明の上,交付し,診療録に貼付しなければならないことは記憶しておかなければならない.この入院診療計画が作成されていない場合には,当該症例については,入院基本料が算定できないこととなる. また,退院時には退院時要約を作成するが,入院基本料の加算点数として,診療録管理体制加算や臨床研修病院入院診療加算がある.この場合,入院患者の全例について退院時要約を作成することが算定要件となっている.②医学管理料,在宅療養指導について これらの点数は,技術に対する評価である.それぞれに具体的な算定要件があるので,個々の確認が必要であるが,その技術を提供したということを診療録に記載することを忘れてはいけない.現実として,診療録への必要事項の記載が算定要件となっていることが多いので,以下にいくつかの例を示すので参考としていただきたい.

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