2176膠原病・リウマチ・アレルギー研修ノート
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4 膠原病・リウマチ・アレルギー研修における学び方は人それぞれであり,標準化することは難しい.ただ,自分の経験を思い返しても,専門研修でいちばん参考になったのは,身近な先輩の体験談であった.本項で記載した内容は,筆者なりの個人的な見解に過ぎないが,これから膠原病・リウマチ・アレルギー科の専門研修を考えている医師,専門医取得を検討している専門研修中の医師に,1つの意見として参考にしてもらえれば幸甚である.1膠原病・リウマチ・アレルギー科の特性 膠原病・リウマチ・アレルギー科について,病態がよくわからない,治療方法も複雑で難しそう,という印象があるかもしれない.当科にコンサルトする他科の医師から,「何だかよくわからないので,とにかく全部お任せしたい」と言われることもしばしばある. 膠原病・リウマチ・アレルギー科の臨床は,そこまで難解なものではない.むしろ基礎的な内科的診療を組み合わせていくものというイメージをもっている.感染症の知識,各臓器(特に呼吸器・腎臓・神経)の知識が土台としてしっかりしていれば,それにプラスアルファ(当科的疾患の知識と免疫学的知識)を加えることで,適切な医療を提供できると実感している.また,関節エコーの技術と解剖学的知識があれば,関節炎診療のレベルも確実に上昇する.小さな基本の組み合わせで対処可能なのであって,あいまいで何だかよくわからないもの,ではないのだ. 一方で,膠原病・リウマチ・アレルギー科の臨床は,専門とする固有の臓器がないことが特徴でもある.「全身を診る」ことが求められているのだが,現実には全臓器に関して専門科と同じ知識・技能をもち,updateし続けることは不可能である.患者評価は,結局は他科の専門家に判断を委ねることになってしまうのだろうか? 各臓器病変の評価をすべて他科に任せ,自分は治療だけに専念することも場合によっては不可能ではないが,専門家が豊富にいる環境以外では通用しないやり方ではある.  筆者は,他科の医師と適切なディスカッションができるのであれば,膠原病・リウマチ・アレルギー専門医としては必要十分であると思っている.ただ,そのためには,初期研修から専門研修の期間で,当科的知識以外に,各臓器の知識を蓄積しておく必要がある.また,自分の得意な臓器を1つ専攻することを考えてもよいだろう.2初期研修で修得するべき一般内科診療 膠原病・リウマチ・アレルギーを将来専攻する場合は特に,初期研修で一般内科診 卒後初期研修の期間に基本的な内科的診療・重要臓器の鑑別疾患はマスターしておこう 各疾患について理解を深めたあとは,症状から鑑別疾患ができることを目標としよう 疾患の背景にある,免疫学的な病態生理の理解を深めようDOsB 勉強のしかた膠原病・リウマチ・アレルギー研修で学ぶべきこと・学び方1

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