2176膠原病・リウマチ・アレルギー研修ノート
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第1章 膠原病・リウマチ・アレルギー専門医をめざす5勉強のしかたB療をマスターしておくことが非常に重要になる.この時期の努力が無駄になることはないので,できるだけ知識・手技を吸収して自分のものとしたほうがよい. 入院診療では,スクリーニング検査(心電図・胸部X線など)と身体所見から鑑別を考え,さらに詳しい検査(画像検査・病理検査)を進めて診断・加療していく.高い頻度でみられる感染症や,万一の急変に対する対応,輸液・電解質・栄養管理が滞りなくできてはじめて原病の加療ができる.初期研修では,特に①心電図,②胸部X線,③輸液・栄養・電解質異常,④感染症,⑤急変対応・重症患者管理,⑥ベッドサイドの基本手技,これらの項目をマスターすることを目標としたい.3重要臓器の鑑別疾患を修得しよう 膠原病・リウマチ・アレルギー科では,全身の臓器病変を把握することが診療の基本となる.他科とディスカッションをするうえでも,重要臓器の鑑別疾患についてより深く学ぶことが必要であり,その知識は初期研修~専門研修の期間に修得しておきたい. ただ,各科ローテートなどで学んだ知識は必ず古くなる.治療ガイドライン,新規薬剤,疾患概念などは次々更新される.それでは何を勉強すればいいかというと,「あまり変わらないもの」を優先的にまとめておくのがいいと思う.それは解剖と生理の知識であり,胸部CTのパターン認識,腎病理の読み方,筋電図の評価など,画像・病理・生理検査もそうした性質がある.それらをまとめながら,最も会得するべきは各臓器,各分野の「鑑別の考え方」である.臓器ごとに基本的な考え方があるので,そのway of thinkingを自分なりにマスターすることを目標としたい.a 呼吸器………………………………… 呼吸器疾患の知識に加えて,画像診断(特に胸部CT)については把握しておいたほうがよい.胸部X線は「フェルソン読める! 胸部X線写真」(Lawrence R. Goodman著,診断と治療社),胸部CTは「High-Resolution CT of the Lung」(W. Richard Webb著,Lippincott Williams & Wilkins)がわかりやすい.「胸部のCT」(村田喜代史著,MEDSI)は疾患の概説も記載されている.呼吸生理は「ウエスト呼吸の生理と病態生理」(John B. West著,MED-SI)がわかりやすい.b 腎臓…………………………………… 腎臓については,「専門医のための腎臓病学」(下条文武編,医学書院)などの成書を参照して,膠原病腎以外の疾患を把握しておくと鑑別に役立つ.また,専門外では理解が難しいのが腎病理だが,「腎生検から学ぶ腎臓病学・増補版」(木村健二郎 著,診断と治療社)のようなケース・スタディとともに提示している書籍が一番参考になると思う.c 神経…………………………………… 検査も疾患も多岐にわたり,把握は難しい.「神経内科ハンドブック 鑑別診断と治療」(水野美邦編,医学書院),「ベッドサイドの神経の診かた」(田崎義昭編,南山堂)で総論・各論と所見の取り方は理解できる.部位診断についてはよくまとまっている「神経内科ケース・スタディー 病変部位決定の仕方」(黒田康夫著,新興医学出版社)が,ケース・スタディは「誤診しやすい神経疾患」(田代邦雄編,南江堂)がおすすめである.検査については個別の書籍を勉強したほうが理解が深まると思う.「筋電図判読テキスト」(廣瀬和彦著,文光堂),「脳波判読step by step」(大熊輝雄著,医学書院),「臨床のための筋病理」(埜中征哉著,日本医事新報社)がよかった.

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