2176膠原病・リウマチ・アレルギー研修ノート
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336である.6治 療 生検による血管炎病期の把握が重要である.急性炎症期には全身の血管の炎症を反映した症状,肉芽期~瘢痕期には侵された臓器の血管狭窄による虚血症状がみられ,それぞれ治療方針が異なる.ただし病理学的には急性炎症期病変と肉芽期・瘢痕期病変とが混在することもあり,両時期の治療を同時並行的に行うことが多い2).a 急性炎症期の治療…………………… 高用量の副腎皮質ステロイドが主体となる.免疫抑制薬の併用療法が推奨され,シクロホスファミド(連日経口または間欠静注療法)が用いられる.重症例ではメチルプレドニゾロンのパルス療法を加え,病態により血漿交換療法を併用する.初期治療を3~4週間継続した後,臨床症状,炎症反応,臓器障害の改善などを評価しながらステロイド投与量を漸減する.b 肉芽期・瘢痕期の治療……………… 閉塞性血管症状に対する治療が主体となり,抗凝固療法や抗血小板療法が行われる.高血圧を伴う場合はその管理を要し,腎不全例では血液透析を考慮する.7経過・予後 わが国のPANの多くは発症後6か月以内に死亡し,1年以内の死亡率は45%である.1年目以降の死亡率は低下する.おもな死因は呼吸不全,腎不全,心不全,消化管出血である2).表1  結節性多発動脈炎の診断基準【主要項目】(1)主要症候 ① 発熱(38°C以上,2週以上)と体重減少(6か月以内に6 kg以上) ②高血圧 ③急速に進行する腎不全,腎梗塞 ④脳出血,脳梗塞 ⑤心筋梗塞,虚血性心疾患,心膜炎,心不全 ⑥胸膜炎 ⑦消化管出血,腸閉塞 ⑧多発性単神経炎 ⑨皮下結節,皮膚潰瘍,壊疽,紫斑 ⑩多関節痛(炎),筋痛(炎),筋力低下(2)組織所見  中・小動脈のフィブリノイド壊死性血管炎の存在(3)血管造影所見  腹部大動脈分枝(特に腎内小動脈)の多発小動脈瘤と狭窄・閉塞(4)判定 ①確実(denite)  主要症候2項目以上と組織所見のある例 ②疑い(probable) (a) 主要症候2項目以上と血管造影所見の存在する例 (b) 主要症候のうち,①を含む6項目以上存在する例(5)参考となる検査所見 ①白血球増加(10,000/ μL以上) ②血小板増加(400,000/ μL以上) ③赤沈亢進 ④CRP強陽性(6)鑑別診断 ①顕微鏡的多発血管炎 ②多発血管炎性肉芽腫症 ③アレルギー性肉芽腫性血管炎 ④川崎病血管炎 ⑤膠原病(SLE,RAなど) ⑥IgA血管炎【参考事項】(1)組織学的にI期変性期,II期急性炎症期,III期肉芽期,IV期瘢痕期の4つの病期に分類される(2)臨床的にI,II病期は全身の血管の高度の炎症を反映する症候,III,IV期は侵された臓器の虚血を反映する症候を呈する(3)除外項目の諸疾患は壊死性血管炎を呈するが,特徴的な症候と検査所見から鑑別できる〔厚生労働省特定疾患難治性血管炎分科会 2006年改訂より,一部改変〕

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