2177血液科研修ノート
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241基本的な考え方 血液科は研究と臨床の距離が最も近い領域の一つである.採血検体がそのまま試料となるため研究が行いやすく,血液学は常に基礎研究の最先端を走っている.また逆に,基礎研究の成果が臨床に応用されるスピードも早い.特に最近はゲノム解析や創薬の技術が格段に進歩したこともあり,臨床と研究が一体となって日々進化し続けているような状況である.したがって血液科を志す医師は,最終的に臨床を主に行うとしても,一度は研究の経験を積むべきだと思う.決して無駄にはならないはずだ.2最初は臨床研究から 研修医の最初の頃は日常業務をこなすのに精一杯だろうが,少し余裕が出てきたら,まずは症例報告論文を英語で書いてみたい.珍しい症例を経験したら,過去の類似症例をまとめたり,ちょっとした実験を追加したりして,国際医学雑誌に投稿してみよう.これにより自分の貴重な経験を世界と共有することができ,また英語論文の書き方を学ぶことができる.さらに可能であれば,過去の診療データを解析するなどして初歩的な臨床研究をやってみよう.この経験は後に本格的な研究を行う際にとても役に立つ.またこの時期に英語論文を発表しておくと,研究生活の初期に競争的奨学金を獲得しやすくなるという利点もある.このような経験を積むためには,研究や論文執筆に理解のある指導医をもつことが何よりも大切だ.現在の環境がそうではなく,かつもう少し臨床の経験を積みたいのであれば,臨床研究を指導,サポートしてくれる病院を次の研修先に選ぶとよい.3基礎研究,それは未知なる世界 血液科医として初期の臨床研修を終えたとき,そのまま臨床を続けるか,それとも一度大学院に入って学位(Ph.D)取得を目指すかの決断を迫られる.このとき「自分は基礎研究には興味がない」といって学位取得をあきらめる人がいるが,これはちょっと勿体ないと思う.基礎研究というのは未知のこと(=誰も正解を知らないこと)に挑むのが仕事であり,それはこれまで学校でやってきたお勉強とはまったく異質のものである.したがって,研究が自分に合うかどうかはやってみないとわからない.実際,特に研究に興味があったわけではないがやってみたらハマった,という人は多い(筆者もそうである).「世界の誰も知らないことを自分で明らかにする」体験はなかなかできるものではなく,一生に一度くらいやってみても損はない.人生は長い.食わず嫌いはやめて,基礎研究の世界を覗いてみよう. まずは臨床研究.英語論文を書いてみる. 人生は長い.一生に一度は基礎研究をやってみる. 基礎研究の成果や経験を臨床に還元する.DOsB 知識の習得の仕方,勉強の仕方血液科医にとっての研究と学位5
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