2180小児救急治療ガイドライン 改訂第3版
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おもな救急疾患206強い.特異的診断としては,頸部側面X線写真にて咽頭後壁の腫脹(軟部組織の腫大)の所見で診断可能であるが,膿瘍の大きさ,周辺組織や縦隔への拡がりは頸部CT検査やMRI検査が有用である.治療は抗菌薬の経静脈的投与が無効なら,耳鼻科による穿刺排膿が不可欠である.扁桃周囲膿瘍は急性扁桃炎が拡大して発症するが,起炎菌の多くはA群溶連菌である.臨床症状は咽後膿瘍とほぼ同一であるが,口蓋扁桃周囲の発赤腫脹と口蓋垂の健側偏位が特徴である.咽頭後間隙に炎症が波及すると,頸部腫脹もみられるようになる.検査と治療に関しては,咽後膿瘍と同一である.e正中頸胞・側頸胞2)正中頸胞は甲状舌管胞とよばれ,小児期発症が多く,無痛性の頸部正中腫瘤として触知し,嚥下とともに移動することが知られる.感染を起こせば有痛性腫瘤となり,発赤腫脹が顕図3左頸部膿瘍図4喉頭後間隙腫脹頸部CTにて,咽頭後間隙RPS(retropharyngealspace)に低吸収域を認め,耳鼻科で咽後膿瘍疑いで穿刺予定となるも,手術予定日に球結膜充血,口唇発赤,発疹,肝機能障害を認め,川崎病の診断がついた.【現病歴】4歳,男児.入院前日微熱出現,深夜に頸部腫瘤と疼痛のため,翌日39.7℃の高熱と腫瘤増大で来院,疼痛強く入院となる.ネコ飼育歴(-)【検査所見】WBC22,200/μL(Neu82%)CRP4.82mg/dL,ESR40mm/時IgG/A/M1,000/147/132mg/dLAST18IU/L,ALT9IU/L,LDH194IU/L血液・咽頭培養(-)周囲にenhance効果(+)の低吸収域(膿瘍)が認められる.抗菌薬の静注で軽快した.【現病歴】咽頭痛,流涎,発熱,頸部リンパ節腫脹があり,翌日に近医受診し抗菌薬を処方されるも改善なく,夜間に当院受診.【身体所見】扁桃の発赤・膿付着あり.左頸部リンパ節2cm大を触知.眼球結膜充血・口唇発赤・イチゴ舌・発疹・四肢の変化なし.【検査所見】WBC27,620/μL(Neu83.7%,Ly5.6%)CRP15.6mg/dL,ESR41mm/時Ht35.4%,Plt37.8×104/μLTP6.7g/dL,Alb4.2g/dL,AST25IU/L,ALT11IU/L,LDH300IU/L,T-bil0.8mg/dL,Na135mEq/L,K4.4mEq/L,Cl100mEq/L,Glu105mg/dL

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