2180小児救急治療ガイドライン 改訂第3版
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B呼吸器疾患8.頸部感染症207著になる.特異的検査として頸部超音波検査を行い,甲状腺が正常位置にあるか否かを確認する.異所性甲状腺を伴うことも少なくないため,この場合には甲状腺機能低下症状の有無に応じて甲状腺機能検査,シンチグラムを行う.感染している場合には切開排膿や抗菌療法を行い,炎症を治めたあとに摘出術を行う.鰓性(咽頭)組織遺残による瘻孔・胞では,第3・4鰓性(咽頭)遺残瘻管・胞である先天性梨状窩瘻が有名であり,側頸部甲状腺に位置した急性の腫脹・疼痛・発熱と嚥下痛を伴う化膿性甲状腺炎を起こすことで知られている.特異的診断検査は,超音波検査・頸部MRI検査などである.治療としては摘出術で根治させるが,再発も少なくない.fリンパ管血管腫頭頸部は先天性リンパ管血管腫(hygroma)が多発する部位でもあり,よく経験される腫瘤である.実際には打撲による内出血や感染に伴い,急に腫大して発覚することが多く経験される.出血や感染で緊満感があるとやや固い腫瘤として触れ,リンパ節腫大などと勘違いする場合がある.図5の症例も頸部皮下腫瘤と発赤,疼痛,頸部可動制限で化膿性リンパ節炎を当初疑った症例である.特異的検査としては,超音波検査での隔壁を認める多房性の腫を確認したり,CT検査にて多房性腫が確認されると確診できる.治療としては,穿刺排膿してピシバニールやブレオマイシンを注入するなどが行われている.原則的に,最近は観血的治療は行われていない.g化膿性甲状腺炎咽頭炎などの上気道炎に引き続き,前頸部甲状腺部位の腫脹,発赤,疼痛がみられる.通常,下咽頭梨状窩瘻(梨状窩から甲状腺に向かう)の遺残が感染の原因となることがほとんどであり,MRI検査が特異的検査となる.反復感染する場合には,遺残瘻の切除が必要となる.h耳下腺炎・顎下腺炎これらの唾液腺炎ではムンプスウイルスが最も頻度が高いが,他の微生物でも起こりうるため,ムンプスの診断には流行など周囲の状況を加味する必要がある.ただムンプスウイルスの場合には,腫脹,疼痛が約1週間と長いことで他の起炎微生物との鑑別になる.また,無菌性髄膜炎や片側聾などの合併症があるため,確診が得られない場合は,ムンプスウイルス感染症の対応を行っていたほうが賢明である.片側性の急激な腫脹の場合には,唾液腺石の唾液管への嵌頓も念頭に置いておく.i乳様突起炎急性中耳炎に引き続き発症することがほとんどであり,乳突部の腫脹と耳介尖立が臨床症状となる.現実的には発熱や不機嫌などを伴うが,実際にはCT検査による乳突洞含気低下や骨吸収像などで確認される.MRSAや緑膿菌など表2咽後膿瘍と咽頭後間隙病変(川崎病)の比較咽後膿瘍咽頭後間隙病変(川崎病)症状発熱・咽頭痛・頸部腫脹,流涎・嚥下障害発熱・頸部リンパ節腫脹,流涎・嚥下障害好発年齢3歳未満年長児(5~6歳)血液白血球・CRP高値白血球・CRP・ESR高値,時にAST・ALTの上昇画像検査(CT)偏位あり,造影CTにて膿瘍がenhanceされる偏位なし(正中位),造影CTにて咽頭後間隙が低吸収域として描出治療抗菌薬場合によっては穿刺・排膿γ-グロブリン,アスピリン

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