2183循環器研修ノート 改訂第2版
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36 患者および家族への説明は,診療における病状・経過説明といった場面と,治療・検査において一定の介入・侵襲を伴う場合に正しい情報提供(インフォーム)とともに対象者が自由意思に基づいて医療従事者との方針について合意(コンセント)する,という二つの場面がある.1病状説明・経過説明 入院された場合,まず入院の最初に今後の予定について患者,ご家族に説明が必要であり,入院経過中,また退院前に経過および今後の方針・見通し,退院後の生活上の注意などについての説明を,時間をかけて行う必要がある.従来,口頭のみで終えることが多かったが,最近は入院診療計画書,退院指導計画書など書面を交わす場面が増加し,形式的な書類の授受ではなく,そのような書類も活用しつつ患者さん・ご家族の理解を少しでも得られるよう配慮する必要性がある.説明を行うときに,知らず知らずのうちに専門用語を使用していることが少なくない.“脱水”は医学用語であり,“体の中の水分が不足している”と説明すべきであり,“心不全”もわれわれが概念として理解している心不全と患者さんがイメージしている心不全には大きなへだたりがある. 病状・経過説明において担当医ごとにその重症感の説明に濃淡が生じる場合があり,それを少しでも回避する工夫としてその疾患の一般的な統計を示したり(たとえば急性心筋梗塞は日本全体で入院時の死亡率が6~7%程度であるなど),学会や患者会などが作成している疾患に関するパンフレット,ハンドアウトなども活用するとより理解が深まることがある. 重症心不全や多臓器不全など末期的状況,予後不良の状況では本人と家族とを分離して病状説明を行う必要性が出てくるが,本人を不安に陥ることがないようにする.たとえば「事務手続きに関する連絡がありますので,受付にお寄りください」などとさりげなく病室からご家族を連れ出したり,あるいは別にアポイントメントを取って説明の時間を確保する場合もある.同じ病状であっても家族向けの厳しい情報提供と,本人向けの病状の受容を促しつつも精神的にサポートする説明とを上手く行うことが必要であり,ここは上級医の先生の対応から学び取っていく必要がある.2インフォームド・コンセント―特に侵襲的検査,治療において インフォームド・コンセントにおいては十分でかつ正確な情報提供とともに,その侵襲的検査・治療が行われなかった場合(現状のまま経過観察をする場合),あるいは代替手段としてどのようなものがあるか,拒否した場合にも診療上不利益を被らないといった点を確認しておく必要がある.最も現場で同意を得る機会の多い冠動脈インターベンションを例にポイントを示すこととする(表1).施設によってはホームペーB 医療現場でのコミュニケーション患者および家族への説明(インフォームド・コンセント),心構えやコンセプトについて9DOs 侵襲的処置を行う場合には術者,またはその手技に積極的に関与する担当医が説明し同意を得る. 予後不良の状況など,本人と家族とを分けて病状説明を行う必要がある.
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