2183循環器研修ノート 改訂第2版
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第1章 循環器研修でのアドバイス37医療現場でのコミュニケーションBジに同意書を掲載したり,外来で同意書をお渡ししたり,事前に患者さんが情報収集できるように工夫されているものがあり,参考にするとよい. 侵襲的処置を行う場合には術者あるいはその手技に積極的に関与する担当医が説明し同意を得るべきと考えられ,緊急時などやむをえない状況でない限り,その行為に関与しない医師,第3者が説明を担当すべきではない. 同意書式には本人の署名欄に加えて,代諾者を必要とした場合の署名欄を設けておく.また同意できない場合の意思表示も行える(この治療法を辞退します,という欄を設けるなど)ようにしておく.3同意を得る際の注意点 インフォームド・コンセントの概念自体,表1 冠動脈インターベンションの同意書例1冠動脈および冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)に関する概要説明2経皮的冠動脈インターベンションに関する説明①バルーン冠動脈形成術,②冠動脈ステント(薬剤溶出ステントとベアメタルステント),③ローターブレータ,④エキシマレーザー冠動脈形成術,⑤カッティングバルーン,など現在,実施可能な手技についての概要,特徴・利点・欠点を記載3補助的に実施される,あるいは可能性のある手技について①IVUS 冠動脈内超音波診断装置,②冠動脈内血流・圧測定,③光干渉断層法(OCT),④IABP (大動脈内バルーンパンピング),⑤一時的ペーシング,⑥経皮的人工心肺・補助(PCPS)4治療の流れの概要説明① 血管のアプローチ(大腿動脈,橈骨動脈,上腕動脈(左側,右側) 中心静脈からのシース確保の有無など)②治療前の準備(ライン確保,大腿アプローチの場合には剃毛,尿道バルーン確保の有無など)③治療後の対応(安静時間,退院までの入院期間,退院後の生活上の注意など)④ 治療に関連して服薬を行うべき治療薬の説明(ステント治療ではdual antiplatelet therapy(DAPT)が原則であり,その治療の必要性と出血のリスク,怠薬に伴うリスクなどを説明)5治療によって得られる利益,不利益6本治療における合併症一般的に知られる合併症の頻度とともに,自施設の統計があればそれも示すことが望ましい.重大な合併症として①死亡,②脳血管障害,③心筋梗塞,④急性冠閉塞,冠動脈解離,冠動脈破裂,⑤緊急バイパス手術,⑥心タンポナーデ,⑦造影剤によるアレルギー,アナフィラキシー,腎障害,⑧血腫,出血など出血性合併症,⑨放射線被曝の問題,⑩末梢塞栓,⑪感染症,発熱,⑫穿刺部位近傍の神経損傷,⑬不整脈(緊急時に電気的除細動を要する場合があること)など7PCI以外の治療法冠動脈バイパス術,薬物療法による経過観察 といった選択肢の提示8その他患者さんの病状,治療成績などは匿名化された形で集計されたり,医療の発展のためにデータが使用される場合があります.またこの治療法については全国的に集計を行い,患者さんの治療の日々の向上に役立てられております.この点につきましてご了解いただけない場合にはお申し出ください.と データベース登録や自施設あるいは全国調査などでの治療成績の集積に利用されることが多いため,一言触れておくとよい.

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