2183循環器研修ノート 改訂第2版
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133検 査A1冠動脈CT angiography (CTA)の進歩 従来の侵襲的な冠動脈造影(CAG)に比し,造影剤は使わなくてはならないが,非侵襲的に冠動脈狭窄の診断が可能となった冠動脈CTAはその簡便さ,CAGとの相関性のよさから,わが国で急速に普及している.4列マルチスライス CTに始まった冠動脈CTAは,その後16列時代になって1回の息止めで心臓全体を非侵襲的に画像化することが可能となり,その後現在最も多く用いられている64列CT時代に入った.さらに施設によっては128列CTや320列CTも用いられている.しかし,画像の精度,息止め時間,不整脈および頻脈時の撮影,被曝線量など,まだ解決すべき問題は残されている.264列CTと320列CT 64列CTの検出器の幅は64xスライス厚(0.5mm)=32mmなので,心臓全体を撮影するには,体軸方向に複数の心拍のデータを積み重ねることになり(ヘリカルスキャン),このことが画像の一種のぶれの原因にもなった.一方,320列CTは,従来の64列CTの検出器のユニットを体軸方向に5枚並べた構造をもち,その検出器の幅は320 x 0.5mm=160mmを有している.そのため,ヘリカルスキャンを行うことなく1回転で160mmの範囲を撮影することができる(図1).すなわち,ただ一つの心拍データA 検 査冠動脈CT angiography(CTA)の可能性と限界9DOs CTは多列化により16列のヘルカルscanから,たとえば320列によるone beat scanへのように,その技術は急速に進歩している. 冠動脈CTは陰性的中率(NPV)が高く,除外診断能力に優れている. ①ポジティブリモデリング(PR),②低吸収プラーク(LAP; Hounsfield Unit<30HU),③微小石灰化がプラークruptureによるACS病変(RFC-ACS)の大きな特徴である一方,プラーク erosionによるACS病変 (intact fibrous cap: IFC-ACS)はstable lesionと現在のCTの技術水準では鑑別困難である.図1 64列CTと320列CTのスライス厚(口絵No.1参照)64列CT320列CT64列CTHelical Scan320列CTNon Helical

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