2183循環器研修ノート 改訂第2版
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134(one beat scan)のみで心臓全体の撮影が可能である.これより,息止め時間が短縮され,不整脈への対応も可能となり,何よりヘリカルスキャンによる画像のブレが最小になり,画質の向上が図れると同時に,被曝線量を数分の一に減らすことが可能となった. 図2は60歳代男性の心臓CT画像(a,c: volume rendering,b,d: curved multi planar reconstruction 〈MPR〉)である.左(a,b)は64列CTを用いて撮影(スライス厚0.5mm,ガントリ回転速度0.35秒,ヘリカルピッチ11.2,R-R 1,392ms,セグメント再構成法),1年後に320列CT(右c,d)を用いて撮影した(スライス厚0.5mm,ガントリ回転速度0.35秒,R-R 1,389ms,1心拍を用いたハーフ再構成法).両者とも,装置のスライス厚,ガントリ回転速度は等しく,撮影時の心拍数も同等であったにもかかわらず,右冠動脈#2(矢印)では64列画像にぶれが認められ,320列CTを用いた画像の精度がより良好であることが確認できる.3CTによる安定狭心症の診断 図3に安定狭心症(stable AP)における冠動脈CTの位置づけを示す.冠動脈CTは陰性的中率(NPV)が高く,除外診断能力に優れている.4CTによる冠動脈プラークの評価 冠動脈CTAはプラークを非侵襲的に観察可能な検査法ではあるものの,そこには限界もある.AHAやSociety of Cardiovascular Computed Tomography (SCCT)のガイドラインでは,プラーク性状は①石灰化,②非石灰化もしくは③混合型に分類されるにとどまっている.一方,CTで組織性状を評価する場合,CT値(単位はHounsfield Unit:HU)を用いる.これは水の CT値を0,空気を-1,000とし,この間のCT値図2 60歳代男性の心臓CT画像(口絵No.2参照)64列CTに比べ,320列CTでは,画像のにじみやいわゆるブレが少なく,辺縁がより鮮明な画像が得られている.(藤田保健衛生大学病院)abcd64列CT320列CT

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