2189デジタル脳波の記録・判読の手引き
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1 記録88851読医は判読時に記録時の状況を追体験することが効率的である.よって,必要に応じて表示条件(モンタージュや感度,フィルタなど)を適切に変更することが肝要であることに変わりはない.中途で表示変更してもデジタル記録される脳波信号が中断されることは一般的にないが,連続記録が中途中断されることのないように注意する.一般的解説 デジタル脳波計において,システムリファレンスと同様に記録上重要なのが,接地電極(アース電極)である.アナログ脳波計でもデジタル脳波計でも,システムリファレンスに問題があると,ほかの電極からの記録信号に思わぬ影響を与える(リファレンスが不良時に,リファレンス電極の代わりに接地電極の電位が投射して入れ替わる現象など:アース電極信号の投射雑音).そのため,これらについては特に注意して装着や記録を行う必要がある.なお最近の脳波計の接地電極はフローティング入力方式であり,大地へ接続している訳ではなく,増幅器のための基準点である.市販の脳波計では,機種により実際にはZやEと表示されていることが多い(第1部 1-4.記録の最中の注意点:ベーシック 2)ニュートラル電極(シグナルアース)(p.15)).[場面3] 次に技師は,サンプリング周波数(=標本化周波数)の設定をチェックして,通常の500Hzになっていることを確認する.デジタル脳波の解説 サンプリング周波数の約1/3以下の周波数活動が,ほぼ正確に再生表示できる(理論的には,1/2の周波数活動が可能でありナイキスト周波数とよぶが,実用的には1/3以下の周波数活動を使用している).サンプリング周波数が500Hzであれば,500÷3=166.7Hz以下の周波数活動の記録再生が可能となる.ルーチン脳波においても,脳波の速波成分と筋電図波形を区別するためにサンプリング周波数は少なくとも200Hz以上が必要である(その際には200÷3=66.7Hzまでの周波数活動の記録再生が可能となり,記録時の高周波フィルタ(=低域通過フィルタ,高域遮断フィルタ)の設定はこれ以下になるように,現在のほとんどの機種では自動設定されている)(第1部 1-4.記録の最中の注意点:ベーシック 3)サンプリング周波数(p.15)).[場面4] ついで,低周波フィルタ(=高域通過フィルタ,低域遮断フィルタ),高周波フィルタの記録設定と表示設定,感度の表示設定などを確認していく.低周波フィルタの記録設定は0.08Hz,表示設定は0.5Hzあるいは1Hz(時定数としてはそれぞれ2秒,0.3秒,0.16秒)*2,高周波フィルタは記録設定,表示設定ともに120Hzとする.表示感度は10μV / mmに設定する.デジタル脳波の解説 これらのアンプ機能の条件は,記録設定と表示設定を分けて考える必要がある.低周波フィルタの記録設定は,測定時および再生時に目的に応じて,自在に変更可能なように(=リフィルタリング),小さい周波数に設定されていることが多い.小さな周波数設定は,長い時定数に相当する*2.*2 低周波フィルタと時定数の間には,低周波フィルタ=1/(2π×時定数),(すなわち低周波フィルタ×時定数=0.16)という関係が成り立つので,時定数0.3秒は低周波フィルタ0.5Hz,時定数2秒は低周波フィルタ0.08Hz,時定数10秒は低周波フィルタ0.015Hzにそれぞれ相当する1). 一方,表示設定においては,低周波フィルタの設定は,脳波(時定数0.3秒程度),眼球運動(時定数1.5秒程度),筋電図(時定数0.03秒程度),心拍数(時定数0.1秒程度)でそれぞれ表示設定が違うことに留意する必要がある. 高周波フィルタの記録設定は,前項に記載したように,サンプリング周波数(通常500Hz)の1/2未満,特に1/3が望ましく,500Hzの場合では160Hzが一般的である.一方,表示設定は通常それと同一あるいは状況に応じて,それ以下の120Hz(あるいは筋電図などが多いときには60Hz)とする.なおアナログ脳波計においては,文献2では高周波フィルタは使用しな

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