2191基礎からわかる女性内分泌
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18 排卵後の卵胞は顆粒膜細胞と莢膜細胞が肥大増殖し,排卵後24~29時間で黄体となる.排卵により莢膜細胞と間質との基底膜は破壊され,種々の免疫細胞が進入してくる.黄体はエストロゲン,プロゲステロンとインヒビンAを分泌し,ゴナドトロピン分泌を抑制する.排卵後8~9日で黄体に多数の毛細血管が進入し,ステロイド産生が増加,E2がピークを迎える.また,増加したプロゲステロンが視床下部のGnRHの分泌を抑制する.妊娠が成立しなかった場合,排卵後10~11日で黄体機能が衰え,プロスタグランジンF2α(PGF2α)やオキシトシンの作用により黄体融解が始まる.黄体の寿命は12~16日で,黄体は萎縮して白体となる.黄体由来のステロイド,インヒビンが低下することにより下垂体へのnegative feedbackがなくなり,月経発来の1日前より血中FSHが増加し,次周期の卵胞発育が始まる.黄体の萎縮によりプロゲステロン産生は低下し,子宮内膜が萎縮して月経が起こる. 黄体においてステロイドを産生する細胞には大細胞と小細胞があり,前者は顆粒膜細胞から分化し,後者は莢膜細胞から分化する1).黄体は大量のプロゲステロンを産生し,分泌するため,その基質であるコレステロールを血流を介して大量に供給し,産生されたプロゲステロンを血中に分泌する必要がある.そのため,黄体形成の過程で血管網の構築が最も重要な項目となる.排卵により卵胞が破裂すると,莢膜細胞の基底膜が崩壊して免疫細胞が進入する.莢膜細胞の血管内皮細胞が顆粒膜細胞に進入し,血管新生が始まる.この血管新生は血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)により調節されている2).VEGFは顆粒膜細胞が黄体化することにより産生される.顆粒膜細胞は肥大化して顆粒膜黄体細胞(大細胞)となり,エストロゲンを合成するとともに大量のプロゲステロンを産生する.莢膜細胞は肥大化せず,莢膜黄体細胞(小細胞)となってアンドロゲンを合成するとともにプロゲステロンを産生する. LHが黄体機能維持の中心となる.LHは,LH受容体を介して黄体におけるプロゲステロンの産生に関与し,黄体機能の維持を行っている.また,産生されたプロゲステロン自体が黄体維持に関与すると考えられている.そして,黄体から産生されるステロイドとインヒビンはnegative feedbackによりゴナドトロピン分泌を抑制する(図1).さらに,黄体機能調節には局黄体形成プロゲステロン産生と調節第1章 内分泌臓器の基礎知識黄体機能の調節楠木 泉 北脇 城8 図1 黄体期の視床下部・下垂体・卵巣のホルモン調節機能GnRHFSHLHnegativefeedbackプロゲステロンエストロゲンインヒビンAプロゲステロンアンドロゲン莢膜黄体細胞顆粒膜黄体細胞下垂体前葉視床下部卵巣

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