2191基礎からわかる女性内分泌
3/12
19内分泌臓器の基礎知識第1章所調節因子が関与する.プロゲステロンはLHサージによる黄体化が始まって数時間は細胞内のコレステロールにより産生されるが,黄体化が進み血管新生が起こるとコレステロールは血中から供給されるようになり,LHの働きにより活発なプロゲステロン合成が行われるようになる.血中のLDLコレステロールがLDL受容体に結合して黄体細胞内に取り込まれ,LH刺激によりsteroidgenic acute regulatory protein(StAR)が増殖してコレステロールをミトコンドリアに運び,P450sccによりプレグネノロン,3β‒HSDによりプロゲステロンが合成される.さらに,顆粒膜黄体細胞ではFSH受容体とアロマターゼが発現し,莢膜黄体細胞で産生されたアンドロゲンがFSHの働きでエストロゲンに変換される(図2). 妊娠が成立しなかった場合,次の妊娠機会を得るために黄体を退縮させて次周期の卵胞発育を促す必要がある.ヒトでは,妊娠が成立しなければ黄体は約14日で退縮する.PGF2αはStAR発現を抑制し,プロゲステロン低下を起こす.また,TNFα,IL‒1βなどのサイトカインが黄体後期の黄体に増加し,プロゲステロン分泌を抑制する.また,Bcl‒2の低下とBaxの増加がみられ,黄体細胞のアポトーシスが起こる. 妊娠が成立すると,絨毛から分泌されるhCGがLH/hCG受容体を介して黄体のプロゲステロン産生を促進し,黄体機能の延長を起こして妊娠黄体へと変化する.妊娠7週までの妊娠維持には妊娠黄体からのプロゲステロン産生が不可黄体退縮妊娠黄体 図2 黄体におけるステロイド合成3β−HSD17β−HSDP450c17P450sccP450c173β−HSDアンドロステンジオンプレグネノロンコレステロールコレステロールエステルプロゲステロンコレステロールアンドロステンジオンエストロンエストラジオールプレグネノロンプロゲステロンデヒドロエピアンドロステロンLDLR莢膜黄体細胞顆粒膜黄体細胞LDLFSHLHRLHLHLHR3β−HSDP450sccアロマターゼFSHR
元のページ