2199愉しく学ぼう 小児の臨床神経生理
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20総論小児検査の注意点2)脳波検査の工夫 小児期の脳波検査は,患児の不安や緊張,安静状態を保持することの限界といった多くの要因により,通常の成人脳波検査と比べて難しいといわれている.検査者はこれらの要因を少しでも軽減するために,患児ごとの年齢や性格を把握した上で,多くの工夫が必要となる.1検査環境 脳波検査は,入眠しやすい静かな環境で行うことが望ましい.そのため,多くの施設では防音シールドルームを脳波室として使用している(もちろんベッドサイドでも検査可能であり,必須環境ではない).しかし,小児にとってはこの静かな個室が不安を掻き立てる原因となる.不安や緊張は良好な脳波記録の妨げとなるだけでなく,時には継続困難となることもあるので,少しでも気持ちを和らげる努力が必要である.検査担当者は患児を入室前の段階から注意深く観察し,最もリラックスできる環境づくりを心がけることが大切である. 小児に対しては,脳波検査専用リクライニング椅子を用意して検査用のアニメを鑑賞したり,お気に入りの本を読むなど,電極装着の間に患児が飽きない工夫も大切である.不安や緊張の大きな子どもには,はじめからベッドで母親に添い寝してもらいながら検査することもある1.2電極装着 電極配置は原則的に国際10-20法で行うが,頭囲の小さい乳児では電極を減らして装着する場合がある.しかしその場合は,必要に応じたモンタージュと電極位置を施設内で統一しておくことが望ましい. 電極装着を正確かつ確実に行うことが脳波検査の第一歩である.特に基準となるCzの位置決めは重要であり,基本的にはメジャーを用いて正確に行い,その他の電極はCzを基準に位置決めしていくとわかりやすい.実際には頭の形が左右非対称ということも多いが,左右の大きさが異なっていてもCzおよ1小児は寝入りばなに汗をかくことが多いため,検査室の温度は低めに設定した方がよい.Key Points ◉小児の脳波検査では,患児の性格や理解の程度を考慮した工夫が必要である. ◉きれいな脳波をとるためには,電極の接触抵抗を最大限に下げることが必要である. ◉アーチファクト対策は,まずアーチファクトの原因を理解することが大切である.3

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