2199愉しく学ぼう 小児の臨床神経生理
5/8

159各論Ⅴ◦脳機能マッピング 拡散強調画像の撮像では一対の傾斜磁場(MPG)を印加するが,DTIにおいては少なくとも6方向の磁場をかける方向の異なる画像を撮像することで拡散テンソルを求めることができる.最近はさらに多方向のMPGを用いた画像も撮像されている.2.DTIで用いるパラメータ DTIで用いる代表的なパラメータにはFA,ADCまたはMD,λ1,λ2,λ3がある.ADC,MDは拡散の方向とは関係なく拡散の大きさを表す値で,FAは異方性の強さを表す値である.λ1,λ2,λ3は固有値とよばれ,λ1が最も拡散が大きい方向,λ2,λ3はそれに直交する方向である.神経線維においてはλ1が線維に沿った方向,λ2,λ3はそれに直交する方向になると考えられる(図1).拡散強調画像,ADC map,FA画像およびFAのカラーマップを図2に示す.FA カラーマップはFA画像においてX方向(左右),Y方向(前後),Z方向(上下)に異方性が強い部分をそれぞれ赤,緑,青に表示したものである(図2).おおまかに赤が交連線維,緑が連合線維,青が投射線維と考えることができるが,必ずしも一致はしない.2計測法 撮像方法の詳細は他書を参照されたい1).ここでは,FA画像の解析法をあげて記載する.1.関心領域(ROI)解析 MRI画像上で円形,楕円形,または解剖学的構造をトレースして作成した関心領域(ROI)を設定して,関心領域内のFA値,MD値などを計測する.比較的容易だが,関心領域と解剖学的な構造のずれ,主観によるバイアスが起こる可能性がある.2.トラクトグラフィー(tractography) ある起点から異方性が最大の向きの方向をたどって画像化する方法である* MPG: motion probing gra-dient* FA: fractional anisotropy* MD:mean diffusivity*固有値:eigenvalue* ROI: region of interest図2  拡散の各種パラメータ画像(p.vi参照)a:DWI, b:ADC, c:FA, d:FA color mapacdbabcd

元のページ 

page 5

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です