2199愉しく学ぼう 小児の臨床神経生理
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168筋電図・誘発電位検査装置の仕組み1波形を正しく評価するためのポイント 現在市販されている筋電計や誘発電位検査装置(ほとんどの装置は両方の機能をもつ)は,電気生理学的検査が臨床応用されはじめた時代とは違い,検査に必要な増幅器の設定などは検査メニューとしてプリセットされている.また,増幅器の性能も当時と比べ格段によくなっているため,機器の動作原理を知らなくとも,メニューを選択することで最適な条件で測定することができる.しかし,波形の正しい評価やトラブルに遭遇した場合の対処には,少なくとも,①差動増幅器の働き,②アナログデジタル変換,③フィルタ処理,を理解することが必要である.2機器の構成と各部の働き 現在の検査装置は,信号の増幅と一部のフィルタ処理以外はすべてデジタル処理が行われる.装置は図1に示すように電極接続箱,メインユニットと市電極接続箱メインユニットパーソナルコンピュータここまでアナログ信号-+これ以降デジタル信号差動増幅器2段目増幅器アンチエリアシングフィルタA/D変換器絶縁回路演算によるデジタルフィルタ処理ハイカットフィルタローカットフィルタハムフィルタ積分や整流などのその他の演算電気/音/光刺激装置トリガ制御加算処理波形計測波形表示保存記録図1 筋電図・誘発電位検査装置の構成(ブロック図)各論Ⅵ ME機器Key Points ◉差動増幅器は2つの電極の電位差を増幅し,2つの電位が同じ位相・大きさの場合には抑制する. ◉フィルタのかけ過ぎは波形にひずみを生じるため,適切なフィルタを使用する. ◉ハムフィルタは原則,使用してはいけない.2

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