2201クッシング症候群診療マニュアル 改訂第2版
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Ⅲ 臨床編(各論)82●●●肺内腫瘍によることから今後は多数例での選択的肺動脈サンプリング法の有用性の検証が必要である.2画像検査 EASを合併する神経内分泌腫瘍(NET)はソマトスタチン受容体(SSTR)サブタイプ(2型,5型)を強く発現するために,NETの機能的局在診断に [111In]オクトレオチドシンチグラフィが欧米では広く用いられている.これまでソマトスタチン受容体シンチグラフィ(SRS)を用いたEASの検出率は,CT/MRIを用いた従来の形態的画像診断より低い~ほぼ同じと報告されている.しかしSRSと他の画像検査(CT/MRI)を組み合わせることによって診断率は向上する10).経過中にSRS陽性になったり,オクトレオチドでACTHが抑制される症例ではSRS陽性率が高い.このような違いはNETが発現するSSTRサブタイプの種類や発現量によるものと考えられる11).また後述するように,欧米での進行性NETに対するPPRTの適応条件にはSRS陽性症例であるためSRSは必須検査である.残念ながらわが国でのSRSは現在未承認検査薬である.しかし最近わが国でも68Ga-DOTAを放射性リガンドに用いたPETの臨床研究が開始されており,近い将来臨床的に用いられるものと期待されている.治療 CDの治療の第一選択肢は,経蝶形骨洞手術(TSS)による下垂体腺腫摘除術である.またEASの治療の第一選択肢も腫瘍の局在が明らかであれば,腫瘍摘出術である(肺小細胞癌では化学療法と放射線治療).しかしCDでも腫瘍が残存・再発したり,手術適応でない場合はガンマナイフやサイバーナイフを用いた定位放射線治療や薬物療法が選択される.一方EASでも原発巣が不明,あるいは転移(特に肝)や進行癌のために腫瘍摘出が不能の場合,薬物療法が選択される.最近の治療の進歩には以下に述べるいくつかの薬物や放射線治療が研究開発され臨床応用されている.1EASの薬物治療 EASの薬物療法の目標は抗腫瘍効果と抗ACTH/コルチゾール効果を目指すものである.抗腫瘍薬には従来から睟・消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)の化学療法のレジメンが用いられているが限定的である.最近になっていくつかの分子標的薬が導入されている.a)ソマトスタチンアナログ(SSA) SSAは腫瘍による症状緩和やホルモン分泌抑制効果に有効であり,最近では持続型(2~4週)SSA(オクトレオチドLAR, ランレオチドSRやAutogel)が開発され臨床応用されている.いずれのSSAも症状・ホルモンの反応性は高いが,腫瘍の反応性は低い12).すなわち腫瘍の縮小効果はあまり期待できないものの,腫瘍の安定化(SD)には有効である.最近転移性中腸由来高分化型NETを対象にしたPROMID試験13)で,オクトレオチドLAR(14.3か月)が対照群(6か月)より有意に腫瘍増悪時間(TTP)を延長すると報告された.また進行性膵NETを対象にしたCLARINET試験14)でも,ランレオチドAutogelが対照より有意に無増悪生存期間(PFS)を延長する(中央値18か月)と報告された.いずれも全生存率は変わらない.両薬剤はFDA,EMAで承認され,わが国でもオクトレオチドLARは保険適用となっている.その他のSSAにはSSTR5型に親和性の強いパシレオチド(SOM230)やSSTRとドパミン受容体2型(D2)の両方に親和性をもつキメラアゴニストのドパスタチン(BIM-27A760)も開発されており,今後EASでの有効性の検討が待たれる.1図  選択的肺動脈サンプリングによる異所性ACTH産生気管支カルチノイド腫瘍の部位診断〔文献9より改変引用〕上大静脈(142pg/mL)下大静脈(121pg/mL)右心房(131pg/mL)ACTH C/P比:39右S5(7×4mm)右肺動脈起始部(143pg/mL)右肺動脈A5(4,760pg/mL)

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