2201クッシング症候群診療マニュアル 改訂第2版
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Ⅲ 臨床編(各論)84●●●トロールが必須である. ACTH産生下垂体腫瘍ではドパミン受容体2型(D2)が発現するため,ドパミン作動薬のブロモクリプチンは一部のCD患者で有効である.ドパミン作動薬は投与初期には有効であっても途中からエスケープ現象を示し薬剤抵抗性になる.作用持続型ドパミン作動薬のカベルゴリンを長期(16~60か月)投与した場合,CD患者(30例)の40%でUFCは正常に維持されたとの報告がある22).D2とSSAのキメラ薬剤(ドパスタチン)はD2とSSTRが共発現する下垂体腫瘍であれば将来有望な薬剤かもしれない.事実,CD患者(17例)の47%でパシレオチド単独よりもカベルゴリン,ケトコナゾールの3剤併用療法が奏功している23). また前述したように将来USP8,TR4,Hsp90,CDK2/サイクリンEに対する阻害薬などの研究開発が進み,下垂体治療薬としての可能性に期待がもたれる.b)副腎阻害薬 現在わが国で治療薬として保険適用がある副腎ステロイド合成酵素阻害薬はトリロスタン,メチラポン,ミトタンの3種類のみである.欧米ではこれ以外にケトコナゾール,アミノグルテチミド,エトミデート(注射用),がある.① ケトコナゾールは抗真菌薬であり,欧米では適応外(オフラベル)であるが最もよく使われている副腎阻害薬である.CYP11B,CYP17,CYP18など多くのステップでステロイド合成酵素を抑制するために,原因にかかわらずCS全般の薬物治療に用いられている.手術不能例,再発例,術前のコルチゾールのコントロールに用いられ,CD患者では約半数で生化学的寛解をもたらす.重症ACTH依存性CS患者11例(CD 4例,EAS 7例)に対してミトタン,メチラポン,ケトコナゾールの3剤をヒドロコルチゾール補充下で同時投与すると,全例で著明な改善が迅速(24~48時間内)に認められた24).いずれも副腎全摘術の適応例であるが重症で大手術が容易ではなく,早急に治療する場合はこのような3剤併用療法が副腎全摘術の代替療法になりうる.   元来ケトコナゾールは抗真菌薬であり,肝では複数のCYP代謝酵素に作用するために主要な副作用に肝毒性が知られている.最近FDAとEMAはケトコナゾールの副作用の肝毒性を憂慮して製造停止や強い警告を出している.このような規制当局により薬剤の使用ができなくなることに医療側が危機感を抱き,フランスの17多施設での17年間にわたるCD患者(200例)でのケトコナゾール使用効果の後ろ向き研究を報告した25).ケトコナゾール(600 mg)投与後のUFCは正常化(49%),低下(26%),不変〈25%〉で,術前治療患者(20%)の約半数で臨床症状の改善とUFCの正常化,耐用不能で中止(20%),肝障害では肝酵素の増加が軽度(13.5%),重度(2.5%)と薬剤性肝炎で死亡した症例はない.したがってケトコナゾールは副作用が許容範囲の有効な薬剤であり,肝機能酵素をモニターすれば肝毒性は軽症であり薬剤2図  クッシング病での分子標的薬〔文献18より改変引用〕下垂体前葉標的組織副腎SSTR5ACTHコルチゾール肝脂肪組織薬物ソマトスタチンアナログドパミン作動薬ケトコナゾールエトミデートメチラポンミトタン(LCI699)GR拮抗薬ミフェプリストンD2GR平滑筋骨

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