2203亀田総合病院KAMEDA-ERマニュアル改訂第3版
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こしにくい. 以上のうちいずれか1つを選択する. ・ 次に筋弛緩薬を選択する. 挿管困難予測例には筋弛緩は行わない.また従来スキサメトニウムがゴールドスタンダードであったが,短時間作用で速やかに拮抗できるエスラックス®(ロクロニウム)に臨床は移行しつつある(表1). ・ スキサメトニウム 1.0~2.0mg/kg IV(作用まで約45秒). スキサメトニウム投与後,20~30秒で全身の筋れん縮を認めた後に筋弛緩がかかるので,顎関節が柔らかくなり筋れん縮が収まってからチューブ挿入を行う. ・ エスラックス® 0.6mg/kg IV(作用まで約60秒). 5) 輪状軟骨圧迫とポジショニング(Protection and positioning) ・ 筋弛緩がかかった後も2)の酸素化がしっかりされていればバッグ換気は避け,嘔吐誤嚥を防ぐ.その一つの方法として輪状軟骨の圧迫(Sellic法)が紹介されるが,これは食道を圧排することで逆流を防ぐとされている.しかし,挿管困難の原因にもなるといわれ,有害事象の報告もあり必須ではない.やむを得ずバッグ換気をするときに考慮するよういわれている. ・ 頸椎保護の必要がなければ,sniffing positionや肥満患者にはramp position(患者の横から見て耳孔と胸骨柄が一直線上)になるように頭部に枕やタオルを入れる. 6) チューブ挿入(Placement with proof). ・ 口腔内,気道内を損傷しないように確実に気管内に挿管チューブを留置する. ・ 挿入の深さの目安は成人男性23cm,成人女性21cmである. ・ 挿管チューブが気管内に適切に留置されているか確認する. ・ 5点聴取(心窩部・左右の上下肺野):両側肺野で呼吸音が表1 スキサメトニウムの使用禁忌・悪性高熱の既往,家族歴・脱髄が関与している神経筋疾患・筋ジストロフィー・72時間以上経過した脳卒中・横紋筋融解症・72時間以上経過した熱傷・高K血症4 ERでの気道確保9I-4ERでの気道確保

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