2204看取りの医療 改訂第2版
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1 医療現場の臨床倫理学と看取りの医療3Ⅰ総 論を追求する医療を提供する. (2)医療を受ける人々の信条や価値観に十分配慮する. (3)医療内容,治療の選択について詳しく説明し,医療を受ける人々の自由な意思に基づいて医療行為を決定する権利を尊重する. (4)倫理的な問題を含むと考えられる医療行為については,法令やガイドラインを遵守するとともに,院内において十分審議検討を行う. この概念は,臨床倫理の考え方の基本と考えられ,すべての医療者はこうした視点をもっていることが重要です. 倫理には4つの基本原則があります6).①恩恵(beneficence),②無(危)害(non‒malfea-sance),③自己決定(autonomy),④正義(公正・公平)(distributive justice)の法則です.特に末期において,侵襲的治療介入が本当に恩恵になる行為か,それとも無意味に危害を与える傷害行為になっていないかの検証が必要です. さらに倫理的意志決定の根拠として,①医学的適応(medical indication),②自己決定権(autonomy),③最善の利益(best interests),④外的要因(external factor)があります.特に新生児や小児のようにみずから意思表示ができない場合,法的代理人(通常両親)が児の「最善の利益」に基づいて意思表示することが倫理的基本となります7). 米国小児科学会「治療中止に関するガイドライン」によると,“forgo”には“差し控える”と“中断する”という2つの意味があります.それゆえ「初めから(侵襲的)治療を加えないこと」と「一度始めた(侵襲的)治療を中止すること」の間には倫理的にも,法的にも重要な違いはないことが強調されています8). さらに仁志田らは,医学的,倫理的意思決定における具体的な医療選択を表2のように分類しています9).筆者が以前勤務した淀川キリスト教病院では,それぞれ「積極的医療」,「制限的医療」,「緩和的医療」,「看取りの医療」と命名し,それぞれの医療分野が今後の大切な医療と位置づけ,患者の最善の利益に基づいて治療選択ができることが重要であると考えています10).5 臨床倫理の大切なキーワード表2●医学的,倫理的意思決定における具体的な医療選択(仁志田らの分類を一部改訂)*Class A【積極的医療】あらゆる治療を行う.*Class B【制限的医療】心臓手術や血液透析など,一定以上の治療は行わない.*Class C【緩和的医療】 現在行っている以上の治療は行わず,一般的養護(保温,栄養,清拭および愛情)に徹する.*Class D【看取りの医療】これまでの治療をすべて中止する.↓よりよい医療の選択とは?〔文献9)10)より〕

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