2204看取りの医療 改訂第2版
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1 医療現場の臨床倫理学と看取りの医療7Ⅰ総 論います.そして急変時の対応を含めた終末期の話し合い(end‒of‒life communication)を行い,協働でよりよい看取りのケアのため事前ケアプランを作成します.そして家族の署名をもらい希望文書(wish document)としてカルテに保管します.その場合,何度でも変更が可能であるとの情報を家族と共有します. 一方,協働意思決定において家族の希望が医療チームの倫理的許容範囲を超える場合,倫理委員会で法的手続きを含めた多面的な検討が必要です.そうしたプロセスをきちんと辿り,その過程をカルテに記載すると同時に,希望文書を保管することで「通常の医療行為の範疇」に入ると思われます.これらの土台となる考え方の基本は,自然死の容認(allow natural death:AND),全人医療の土台となる緩和ケアの導入,そしてpatient family centered care(本人と家族中心のケア)17)です.2)協働意思決定の土台となるガイドライン 2012年8月日本小児科学会倫理委員会小児終末期ガイドラインワーキンググループが,「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」を公表しました18).その大切なキーワードとして「協働意思決定」が挙げられました.すなわち法的代理人である家族と医療チームが,「こどもの最善の利益」を考えて協働意思決定を行うプロセスの重要性を学会として正式に推奨したものです.この基本精神は,2004年成育医療研究班の報告書「重篤な疾患を持つ新生児の医療をめぐる話し合いのガイドライン」19),そして2007年に公表された厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」20)の精神に沿ったものです.2015年には,題名を「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」21)に改訂しました(図2).図1●倫理的・医学的意思決定のプロセスと対応(通常の医療行為の範疇)〔文献2)15)16)より〕最も親しい法的代理人(両親)医療チーム倫理委員会医療チームの倫理的許容範囲Allow natural death(自然死の容認)→緩和ケア〈全人医療の基本〉→Patient & family centered care 〈尊厳・尊重,情報共有,参加,協働〉終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省,2007年)話し合いのガイドライン(成育医療研究班,2004年・日本小児科学会倫理委員ワーキンググループ,2012年)生命・障害予後の科学的判断 〈複数医師による〉→医的侵襲介入(傷害行為)の是非 〈制限・差控え・中止〉→Best interests (児の最善の利益)→Shared decision-making (協働意思決定)→End-of-life communication (終末期の話し合い)→Advance care plan (事前ケアプラン)
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