2208小児科外来や乳幼児健診で使える食と栄養相談Q&A
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22栄 養0~4か月(新生児~乳児早期) 母乳分泌を維持する最もよい方法は,乳児が直接母乳を吸う機会を多くもつことです.そこで,出勤直前に授乳してから乳児を預けたり,帰宅後は最初の授乳を,母児ともにゆったりとした環境で,欲しがるだけ母乳を飲ませることが効果的です. また,乳児と一緒にいられるときは,母子ともにゆったりとした時間が過ごせるように,家族は母親以外ができる家事をやったり,周囲の人の子育てへの支援も欠かせません. 職場では休憩時間などに,張ってしまった乳房の基底部マッサージと乳首のマッサージを行います.搾乳ができる場合には,搾乳します.乳児がいつも使っているタオルやぬいぐるみなどをそばに置いて,乳児をイメージしながら搾乳すると母乳分泌にさらに効果的です.搾乳後は,冷凍母乳を保存する専用のバッグに入れて冷凍保存します.母乳の保存期間は,健康な乳児に対しては,2ドア冷蔵庫冷凍室(-20℃)では3~6か月,解凍した母乳は冷蔵庫で24時間が推奨されています1). 新鮮母乳と冷凍母乳の違いは細胞成分にあります.月齢が進んでいない乳児に役立つ細胞成分ほど,冷凍により変化します.一方,母乳由来リパーゼやアミラーゼなどは,冷凍による組成の変化はほとんどみられません1). 解凍は自然解凍が原則ですが,流水や約40℃の保温槽による方法もあります.電子レンジや熱湯につけて解凍すると,母乳中の免疫物質であるラクトフェリン,リゾチームなどの生理活性は失われますので,それらによる解凍はなるべく避けます.文献 1) 堤ちはる,他:母乳の成分について.新訂版 やさしく学べる子どもの食.診断と治療社,2012;34-42(堤 ちはる)解説搾乳,冷凍母乳Key word就労しながら母乳育児を続けるには,どうすればよいですか?Q 17母乳育児の継続には,保育施設への送迎前後に自宅で,あるいは保育施設での授乳,自宅での頻回授乳,職場での搾乳も効果があります.保育施設が,母乳を与えてくれる環境かどうかも大切です.また,母乳育児への周囲の支援も欠かせません.AQ 16関連質問

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