2208小児科外来や乳幼児健診で使える食と栄養相談Q&A
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68歯 科5~11か月(乳児中期~後期) 一般的におしゃぶりと指しゃぶりは同義的に捉えられているところがありますが,口にくわえるという意味では共通していても異なるものとみなします.それは,指しゃぶりは乳児が自ら始める自然な行為ですが,おしゃぶりは育児用品であり,その開始や使用は乳児の意志とは異なり,保護者の意志に決定が委ねられているところです. おしゃぶりの使用は,精神的に安定する,簡単に泣きやむ,静かになる,入眠がスムーズになる,子育てのストレスを軽減できる,といった利点がいわれています.しかしながら,子どもがどうして泣いているのか考えず使用することも多くなり,子どもとのかかわりあいが減ること,また,乳児が発語したり,口に手や物をもっていったりすることによってさまざまな学習をする大切な機会を奪っている可能性が懸念されています.しかしながら,利点,欠点ともに実際の科学的根拠に基づく検討は不十分な点が多いのも実情です.諸外国では積極的な使用を推奨している国も多く,地域や文化,時代的背景による解釈で意見が大きく分かれています.いずれにしても習慣的になりやすく,長期間の使用によって,歯並びや顎の発育,口腔機能に影響がでることがある点は多くの施設で証明されています.指しゃぶり同様に乳歯の噛み合わせが完成する2歳後半~3歳以降に使用を継続した場合には開咬や交叉咬合が生じますが,実際,おしゃぶりは指しゃぶりよりも吸啜時間が長くなる傾向にあり,噛み合わせへの影響が早くでやすくなることも明らかとなってきました.したがって,発語や言葉を覚える1歳過ぎになったら常時使用はしないように心掛け,遅くとも2歳半までには使用を中止することが望ましいと考えられます.参考文献・ 日本小児歯科学会:おしゃぶりについての考え方.(http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index03_ 04.html#pro04)(岩本 勉)解説おしゃぶり,歯並びKey wordおしゃぶりの使用は歯と口に悪影響がありますか?Q 60おしゃぶりを吸う行為で乳児はリラックスすることができ,精神的安定が期待できます.その結果,泣きやんだり,入眠がスムーズにできたりします.その一方で,習慣的になりやすく,指しゃぶり同様に長期間にわたって使用すると歯の萌出や顎の発育に問題が生じることがあります.AQ 58, 59, 91関連質問

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