2208小児科外来や乳幼児健診で使える食と栄養相談Q&A
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167アレルギー全年齢 食物アレルギーは,原因食物のたんぱく質に対し免疫が過剰に反応することで起こります.たんぱく質は多数のアミノ酸が鎖状に重合したものであり,それがさらに螺旋状,シート状に折りたたまれ,特定の立体構造をとっています.アレルギー反応はこのたんぱく質の特定の部位(エピトープ)を免疫細胞が認識し特異的な免疫グロブリン(Ig)E抗体をつくってしまうことで起こる反応で,このエピトープを含むたんぱく質分子をアレルゲンコンポーネントとよびます.エピドープが分解されたりして構造変化すると,IgE抗体が結合しにくくなり,アレルギー反応は減弱します.これを食品の低アレルゲン化とよびます.アレルギー用ミルクは,まさにこの原理を利用しており,牛乳のたんぱく質を加水分解することで低アレルゲン化した商品です1). 低アレルゲン化,すなわち,たんぱく質の変性がどのように起こるかは,そのたんぱく質の性質によります.熱によって変性するものもあれば,熱には耐性があり発酵によって変性するものもあります.焼いたり茹でたりといった加熱でアレルゲン化できる食品の代表は鶏卵です.一方,牛乳,小麦アレルギーは熱では変性しないたんぱく質に反応することが多いので,加熱をした食品でも症状が出現します.ただし,一口に鶏卵アレルギーといっても鶏卵に含まれる複数のたんぱく質のうち,どれに反応するかは個々で異なりますし,同じ鶏卵でもたんぱく質ごとに性質も異なります. 近年コンポーネントごとの特異的IgE抗体を測定することで,アレルゲンのより詳細な絞り込みが可能になってきましたが,まだ十分ではありません.子どもが,原因食物のどのコンポーネントにアレルギー反応を起こしているのか,そのコンポーネントの性質から調理による低アレルゲン化が可能かは,食物アレルギーの重症度に応じて個々に専門医と相談し指示を仰いでください.文献 1) 宇理須厚雄,他(監修),日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会(作成):食物アレルギー診療ガイドライン2012.協和企画,2011(森田 久美子)解説低アレルゲン化,アレルゲンKey word焼いたり茹でたりなど,調理法で抗原性が変わる食品はありますか?Q 148アレルギーの原因たんぱく質の性質によっては,加熱など調理法により低アレルゲン化が可能な食品があります.ただし原因食品のどのたんぱく質に反応しているかによって異なるため,必ず医師に確認してください.AQ 140関連質問

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