2209整形外科研修ノート
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243第4章 主要な疾患・外傷運動器疾患Aる.二次性の変形性関節症は靱帯損傷や骨折後などの外傷,感染などの炎症性疾患,代謝性,内分泌疾患,骨系統疾患などの病因に基づいて発生する.肥満は,荷重関節である変形性膝関節症のリスクファクターであるが,荷重関節でない手指の関節にも関連しているので,必ずしも肥満による機械的な刺激の増加のみがOAの成因ではない.職業やスポーツなどによる繰り返し動作は,機械的な刺激になり特定の関節にOAを発症させる.男性に関しては膝を屈曲位にする動作を伴うものや重労働を必要とする職業では発生率が増大するとされる.また,変形性肘関節症は外傷後や,野球や大工作業などの過負荷によるものが多い. 膝関節や足関節においては,下肢のアライメント不良は重要なOAの要因の1つである.内外反変形や骨折の変形治癒はOAを誘発する.股関節においては多くが二次性OAで,発育性股関節形成不全の遺残変形や寛骨臼形成不全による大腿骨頭の外上方への偏位が,関節面の狭い部分への荷重集中を生じるためOAへ進行する. 従来,古典的には機械的なストレスがOAの原因とされていたが,様々な酵素やサイトカインの関与が明らかになっている.軟骨は軟骨細胞と細胞外マトリックスからなり,分解と合成を繰り返す代謝が行われている.マトリックスは主にII型コラーゲンからなるコラーゲンが約50%とプロテオグリカンが約30%,その他非コラーゲン蛋白質などが20%である.マトリックス分解酵素であるマトリクスメタロプロテアーゼやインターロイキン-1,2,6,TNF-αなど表1 病因による変形性膝関節症の分類一次性特発性全身性変形性関節症びまん性特発性骨増殖症二次性外傷性急性慢性基礎疾患局所性(発育性股関節形成不全,骨折,感染など)全身性(関節リウマチなど)代謝内分泌疾患アルカプトン尿症Wilson病ヘモクロマトーシスKashin-Beck病末端肥大症甲状腺機能亢進症など結晶性関節炎痛風偽痛風など神経病性関節症(Charcot関節)脊髄ろう糖尿病などステロイド性関節症骨系統疾患軟骨無形成症脊椎骨端異形成症

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