2209整形外科研修ノート
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245第4章 主要な疾患・外傷運動器疾患A変形性股関節症」表1 p.390参照)など関節固有の分類がある.しかし,これらのX線分類は必ずしも臨床症状と相関を示さない.2) MRI 軟部組織の描出にはMRI検査が優れている.また,関節軟骨の評価が可能である.膝OAでは手術術式の選択に術前の前十字靱帯の損傷の有無を正しく評価することが重要である.また骨壊死との鑑別に有用で,膝関節ではT2強調画像で壊死領域に高信号と低信号の混合パターンがみられる.股関節では,帯状低信号像を呈する.RAではT2強調画像やT1ガドリニウム造影撮影において,滑膜増殖や滑膜の骨への浸潤が認められ鑑別の参考となる.また,色素性絨毛性滑膜炎や滑膜性骨軟骨腫症による二次性OAではMRIは診断と病態の把握に重要である.6治療a 保存治療 1) 薬物療法 変形性膝関節症に対する薬物療法には主に内服薬,外用薬,関節内注射があげられる. 内服薬としては,主に非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が使用される.その目的は疼痛の軽減といった対症的なもので,OAの進行は抑制されない.長期間処方する場合は消化管障害や腎障害などの副作用に十分に留意することが必要である.また,コンドロイチンやグルコサミンが市販されているが,その有効性においては現在のところ十分なエビデンスが得られておらず,医療機関から処方薬剤としては認められていない. 外用薬は湿布薬と塗布薬が処方されている.インドメタシン,フルルビプロフェンケトプロフェンなどの成分を有するものが代表的である. OAのうち,変形性膝関節症にのみヒアルロン酸関節内注射療法の適応が認められている.ヒアルロン酸は病状が初期の症例には有効であるが,進行した変形性膝関節症には効果は少ないとされている.また関節内注射の合併症として化膿性関節炎のリスクもあるので,漫然と続けるのではなく,効果がみられないのであれば,他の治療法を選択すべきである.また,デキサメタゾンやトリアムシノロンアセトニドといったステロイド注射剤も関節内注射に用いられ,滑膜炎の強い症例に対して抗炎症効果により,疼痛を改善させる.しかし,実験的にはステロイドは軟骨のアポトーシスを誘導し,軟骨基質合成を抑制すると報告されており,臨床でもステロイド性関節症を発症させることが明らかになっている.また,感染のリスクを高め,全身の副作用も起こす可能性もあり慎重に使用すべきである.いわゆる温湿布といわれるものはトウガラシチンエキスが混入しているもので,慢性期の疾患に有効であるといわれているが,実際には温湿布と冷湿布は,処方して効果的なものを選択する.Pitfall!2) 理学療法 関節周囲筋力増強訓練は関節の安定性を向上させ,疼痛軽減効果がある.特に膝関節における大腿四頭筋訓練や股関節における外転筋群の筋力訓練は,効果的でぜひ患者に指導するべき運動療法である.また減量は荷重関節のOAでは機械的な刺激を軽減させ除痛効果がある.3) 装具療法 関節の動揺性は,変形性関節症を進行させる要因の1つであるため,これを制御する装具は,膝関節や母指CM関節などでしばしば用いられる保存療法である.b 手術療法 保存療法が奏効しない場合,手術療法が選択される.
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