2212診療実践小児神経科
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▶末梢神経伝導検査(Part3 D神経生理検査参照):脱髄型の発症初期にみられやすい異常所見は,①F波の出現率低下と潜時延長,②遠位潜時延長,③時間的分散,である.伝導ブロックは徐々に明瞭となり,伝導速度遅延は1~2週後に明らかとなる.軸索型は,初期よりM波の振幅低下が著明であり,重症例では完全に消失する.伝導速度は正常か,軽度遅延程度である. ▶血清自己抗体:抗GM1抗体やGD1a抗体を高率に認める. ▶髄液蛋白:髄液蛋白上昇は発症1~2週以降に認めることが多いので,初期診断には役立たない.      1~4) ▶小児は80%以上が完全回復する.特に脱髄型GBSは予後良好である. ▶中等症~重症例(歩行不能例や呼吸筋麻痺)や軸索型GBSでは,早期のγグロブリン療法あるいはPEを行う.軽症例においても効果が期待できる.小児ではγグロブリン療法が試行されることが多い.γグロブリン療法とステロイドパルス療法の併用療法が,γグロブリン療法単独より有効との報告があり,重症例には考慮してよい3).γグロブリン療法+PEおよびステロイドパルス療法単独は推奨されない. ▶関節拘縮や筋萎縮が生じやすいので,ベッドサイドでのリハビリを早期からはじめる. ▶痛みに対してガバペンチン(ガバペンⓇ)やカルバマゼピン(テグレトールⓇ)が有効である. ▶亜急性発症の慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP:chronic inammatory demyelinating polyneuropathy):臨床経過(2か月以上にわたり進行あるいは再発)と感覚障害で区別される. ▶横断性脊髄炎・急性散在性脳脊髄炎(脊髄症状):急性発症の両下肢対麻痺の場合に鑑別が必要.膀胱・直腸障害と感覚障害が強い.脊髄MRIで診断可能である. ▶Wウェルニッケernicke脳症:急性発症のニューロパチーであり,GBSと類似の臨床像を呈診 断治療・予後識別診断・γグロブリン療法(ベニロンIⓇ400 mg/kg/日を5日間点滴静注):開始30分は,0.01 mL/kg/分,その後0.03 mL/kg/分にあげる.アナフィラキシーに注意.・γグロブリン療法+メチルプレドニゾロン併用療法〔ソル・メドロールⓇ8 mg/kg(最大500 mg)を5日間点滴静注〕:2時間かけて点滴静注,その後IVIG.処方例228

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